Simufact Forming 2021のご紹介
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 製造ソリューション事業部 技術開発部 第四サービス課 川本 晃己 |
はじめに
メタルフォーミングプロセスシミュレーションシステムの最新バージョンSimufact Forming 2021(以下、Ver.2021)をリリースしました。Ver.2021の主要なトピックスは計算速度の向上です。ここでは、改善点や主な新機能についてご紹介します。
Simufact Formingの新機能
Ver.2021における主な新機能は次の通りです。従来バージョンと比較しながら詳しくご紹介します。
- 新しい要素タイプの追加
- FEソルバーの改良
- FVソルバーの改良
- 各種機能の強化
新しい要素タイプの追加
Ver.2021では、四面体要素タイプに新しく247が追加されました。四面体要素タイプ157と比較すると計算時間が短く、メモリ消費量を抑えられています。Ver.2021から四面体要素タイプのデフォルト設定をタイプ157からタイプ247へ変更しています。図1はコンロッドの成形解析に掛かる計算時間をタイプ157とタイプ247で比較した結果です。本例では、タイプ247を使用することでタイプ157と比べると計算時間を40%削減する効果が得られました。

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FEソルバーの改良
デフォルトソルバーの変更
FEソルバーのデフォルト設定がPardisoからMUMPSに変更されました。Pardisoでは、並列数が多くなるとかえって計算時間が長くなることがありましたが、MUMPSでは、並列数を増やすと計算時間が短くなります。図2は、コンロッドの成形解析をFEソルバーのPardisoとMUMPSで計算時間を比較した結果です。本例では、MUMPSを使用することでPardisoと比べると計算時間を35%削減する効果が得られました。

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新しいタイムステップ制御
新しいアダプティブタイムステップとしてRecyclesが追加されました。Recyclesは収束計算回数を計算中に確認しながら、次のステップにおける時間幅を決定するタイムステップです。油圧プレス、クランクプレスを使った3次元モデルの計算では、Recyclesがデフォルト設定となります。図3は、タイムステップコントロールをデフォルト設定にしてVer.16.0 SP1とVer.2021の計算時間を比較した結果です。Ver.2021が総じて計算時間が短くなり、最大で計算時間を50%削減する効果が期待できます。

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FVソルバーの改良
パフォーマンスの向上
FVソルバーの全体的なパフォーマンスの改善が図られ、Ver.16.0 SP1と比較すると最大で30%ほど計算速度が向上します。
新しいソルバータイプ
新しいソルバータイプとしてAcceleratedが追加されました。Acceleratedは、Higher orderよりも短い計算時間で、同等の解析結果の品質を出すことができます(図4)。

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図5は、Ver.16.0 SP1のHigher orderとVer.2021のHigher orderとAcceleratedの計算時間を比較した結果です。Ver.2021のAcceleratedは、計算時間を最大20%削減する効果が得られました。

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各種機能の強化
境界条件[面荷重]の追加
境界条件に面荷重が追加されました。Ver.16.0 SP1までは点荷重しかなく、節点に対して全体座標系の各方向にしか力を加えられませんでしたが、面荷重が追加されたことにより、要素表面の法線方向に圧力を加えることができるようになりました(図6)。面に対して一定の圧力を加えたいハイドロフォーミングなどに応用することができます。

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収束モニターの追加
収束モニターが追加されました。各インクリメントのサイクル数、計算時間、収束比、カットバックの回数がグラフで表示できます(図7)。計算において、不安定となっているインクリメントの発生などを確認できます。

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結果表示のフィルタリング
計算結果の表示では、要素、節点、結果値によるフィルタリングが可能になりました。図8は、相当塑性ひずみにおける結果値0.5を上回るものを表示しています。応力、ひずみが高く発生している箇所などを確認したい場合、フィルタリングを使用することで容易に表示できます。

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おわりに
Ver.2021は、本稿でご紹介した以外にもさまざまな新機能が追加され、従来の機能の安定性などの改善も図られています。Simufact Formingにご興味がありましたら、ぜひとも担当営業までご連絡ください。
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