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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.76 システム紹介

トータルソリューションのご提案(2)
フロントローディングソリューション

はじめに

私たちは、従来の商品単体でのご提案だけでなく、お客様のニーズに合わせた業務の効率化および改革を行っていただけるように、トータルソリューションのご提案を行っています。

そのご提案のひとつとして、「人とシステム No.65」にSTLの活用例(トータルソリューションのご提案(1)STLの活用例)をご紹介しました。今回は、2つ目のご提案として、フロントローディングソリューションについてご紹介いたします。

フロントローディングソリューションのご提案

ものづくりの工程では、下流工程での不具合により設計変更が発生した場合、設計変更にかかるコスト、時間が膨大となります。そのため、下流工程の問題点を早期に捉え、製品設計の初期段階でコスト、品質を考慮するというフロントローディングに取り組むことが重要となります。

しかし、単純に製品設計の初期段階にリソースを多くつぎ込むだけでは、設計者の負担が大きくなるだけです。そこで、解析ツールを活用したり、下流工程で発生した問題を次回の設計に生かすために情報を一元管理したり、コミュニケーションを取ることができるフロントローディングソリューションが重要となります。

ここでは、樹脂部品でのフロントローディングソリューションをご説明します。

樹脂部品における製品設計での
流動解析システムを導入するメリット

初期の設計段階で、成形時の問題点をある程度予測できれば、製品設計まで手戻りすることはありません(図1)。

しかし、製品設計者が成形時の問題点まで考慮して設計するためには、金型、成形、材料特性などのさまざまな知識が必要となります。この知識は、一般的に経験を積むことにより習得できますが、経験値には差があります。

そこで、流動解析システムを利用することにより、製品設計時の経験値の差を平準化できます(図2)。

 図1 樹脂製品の製造工程フロー
図1 樹脂製品の製造工程フロー
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図2 製品設計への手戻りの要因
図2 製品設計への手戻りの要因
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樹脂部品における金型設計での
流動解析システムを導入するメリット

図3 樹脂流動解析システムのご提案
図3 樹脂流動解析システムのご提案
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図4 3次元水管の効果
図4 3次元水管の効果
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図5 EOSINT M 造形サンプル
図5 EOSINT M 造形サンプル
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成形材料や成形方法は、日々進化しており、いかなる状況においても品質を一定に保つことが重要です。しかし、寸法が公差内に収まらない、ヒケ・ソリ・ガスだまりが発生するなど、常に問題が発生します。そのため、設計者は完成した成形品から、さまざまな手戻りの要因を予測して対処します。例えば、その要因として金型の表面温度のバラツキが大きいのか、ゲート位置が適切でなかったのか、樹脂流動がよくなかったのか、などを考えて対処することになります。ですが、新しい材料、新しい成形方法になると、経験不足による予測不能な場合が多く、試作に多大な時間を費やすことになります。

そこで、流動解析システムを活用してデジタルトライすることにより、事前に不具合箇所を予測できます。さらに試作回数を減らし、金型の製作時間を大幅に短縮できます(図3)。

また、流動解析システムを導入すると、新しい技術へのチャレンジも可能になります。

例えば、成形性向上によるサイクルタイムの短縮は、永遠の課題ではないでしょうか。この流動解析システムによるデジタルトライが可能になれば、新技術である3次元水管を用いることで成形サイクルの短縮につなげられます。この3次元水管は、3DプリンターであるEOSINT M(金属)で造形することができます。(図4)。

EOSINT Mは、マルエージング鋼の材料が使用できるため、硬度55HRCまで対応できます。これで、量産用の射出成形金型、ダイカスト金型への適応が可能です。そして、3次元水管を実現すれば金型温度を均一化することができ、成形品の精度が安定します。また、冷却効率が向上するのでハイサイクル化にもなります。さらに、従来の水管レイアウトは部品により制限が多く時間がかかっていましたが、自由なレイアウトが可能になり、金型レイアウトの工数削減を実現できます。

EOSINTの造形機は、金属だけではなく樹脂のラインナップもあるので、試作品の内製化で製品設計の効率化も行えます。

フロントローディングにおける
部門を越えた情報共有

流動解析システムで試行錯誤を繰り返しても、そこで得た情報を部門内、また部門間で共有できなければ、同じことの繰り返しになります。いざ作業を開始しようとしても作業者間で情報が散乱していて、基になる情報がどこにあるのか、情報を見つけても事前にどのような検討をしたのか、またどこまで情報が共有できているのか、という状況では、工程ごとに効率化を行っても根本的な解決にはなりません。

この状況を解決するツールとしてDarwinVueをご提案します。DarwinVueは、打ち合わせ機能を搭載した3次元ビューワーです。寸法などの計測機能、3次元手書きツール、議事録機能(部門間、業者間でやりとりを記録するコミュニケーション機能)、Excelや画像、解析結果の動画などを添付する打ち合わせ機能などがあり、情報伝達が円滑にできるツールです。

また、Manufacturing-Space(クラウド)のPDMサービスを利用することにより、部門を越えたデータ共有も実現できます。

これで、今まで個人で持っていた情報を一元管理でき、さらに全ての製品情報を1つのファイルで管理できます。

おわりに

各部門でのフロントローディングも重要ですが、ここで得た情報を伝達、共有することにより、本当に価値のあるフロントローディングが行えます。

私たちもお客様の環境や課題を一緒に考え、価値あるソリューションをご提案しますのでご期待ください。

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