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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.76 システム紹介

マニファクチャリングラボ(沖縄)の取り組みについて

開発本部 ソリューション開発統括部 
基盤ソリューション開発部 部長 鯵坂 昌広

はじめに

マニファクチャリングラボのエンジニア
マニファクチャリングラボのエンジニア

マニファクチャリングラボ(以下、ラボ)は、「新たなノウハウや機能を生みだし付加価値の高い金型製造や垂直立ち上げのお役に立つ」ことを目的とし、沖縄県うるま市に2012年1月に開設しました。この開設については、「人とシステム No.65」(マニファクチャリングラボの開設について)でご紹介しています。

開設以来、実際に加工機を稼働させることでSpace-Eの効果的な利用法や磨きレス加工条件の調査などを行い、加工結果に基づいた利用方法をSpace-Eの開発・提案に生かしてきました。

そして2014年4月からは、新技術の選別・応用検討を目的とし、Space-E開発者とサポートエンジニアの計3人が赴任し、技術開発を行っています。

なぜ、沖縄か

3次元測定機 東京精密SVA FUSION7/5/5
3次元測定機 
東京精密SVA FUSION7/5/5
輪郭形状測定機 MITUTOYO FormTracer SV-C500
輪郭形状測定機
MITUTOYO FormTracer SV-C500

ラボは、2010年4月に開設された金型を専門とする沖縄県金型技術研究センター内にあります。

同センターに併設された賃貸工場には、金型製造を手がけるプロ集団の企業が入居されており、技術的な意見交換を行っています。また、沖縄県金型技術研究センター所有の加工機を利用させていただけるので、機械特性を把握するなど他では得られない環境です。

これらの環境で得られたノウハウをCAM開発に反映し、すぐにテスト加工を実施、そしてその結果を再度CAMに反映できるので、有益な開発を行っています。

また、寸法測定器や表面粗さ測定機、さらに電子顕微鏡や光学顕微鏡など、さまざまな測定機を利用して加工物を検査できるため多角的な検証が行えます。

沖縄での取り組み

現在、既存加工技術と新加工技術の2つのテーマに対して技術開発を行っています。

既存加工技術では、Space-E/CAMの現状の問題点を洗い出し、工作機での加工結果を踏まえ、ロジックの見直しや新技術の検討・開発を行っています。

新加工技術では、5軸加工機を利用した生産性向上を目的に、5軸加工をメインターゲットとし、3軸から5軸までの工程の最適化や割り出し加工、4軸加工、5軸加工機能のブラッシュアップを行っています。

すでに以下の技術開発を行っており、本成果は、Sapce-E/CAMの次期バージョンに搭載する予定です。

等高線荒取り機能

等高線荒取り機能 最適な回避動作を実現
等高線荒取り機能 最適な回避動作を実現

回避接続順を見直したことで回避回数が低減できます。また、回避動作を見直したことで加工負荷を低減させ、さらに工具破損のリスク低減、加工時間の短縮を実現できます。

5軸加工機能

5軸加工機能
5軸加工機能

C軸、A軸の急激な移動を制御し、一定速度になるように改善します。これで、急激な移動時に発生する加工面の品質低下を防止できます。また、ワークとの干渉を確実に回避し、安定したNCデータを作成できます。

現在の開発は、削り残し加工機能のブラッシュアップ、そして割り出し加工や5軸機能の自動設定による効率化に取り組んでいます。

今後について

ラボでは、お客様の金型製作のさらなる生産性向上をお手伝いするために、自動化、高品質化、高速化の3つの課題をテーマとして取り組む予定です。

自動化

経路作成時のパラメータ設定にかかる手間と時間の省力化を実現します。パラメータどうしの連動性、加工対象物を考慮したパラメータの自動設定、オペレータの思考をアシストする入力支援(ナビ機能)など、トライ&エラーを含むパラメータ設定時間を短縮するための開発を行います。また、設定パネル(GUI)を見直し、直観的で短時間で操作を習得できるUI再構築の検討を行います。

高品質化

工作機での実加工で検証しながら、お客様が求める精度で、ご満足いただける経路生成ロジックの開発を行います。

切削面に求められる精度は、お客様の業種、用途、モデルの部位ごとの要件などによって異なります。それぞれ求められる精度を実現するために、これまで培ってきたノウハウをベースにさらなる向上を目指します。たとえば、隅取り加工は前工程で削り残ったコーナー部や深部を仕上げるための機能ですが、傾斜部や緩斜面、アプローチ位置やアプローチ方法など切削パターンが多く存在します。そのため、ラボの強みである実加工により、物理現象を検証することで最適な切削パターンを追及し、CAMに反映します。

高速化

CL計算サービス(Manufacturing-Space)
CL計算サービス>
(Manufacturing-Space)
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経路生成時間の短縮を実現します。グラフィックボードを利用した図形処理や最近注目されているGPGPUを使った超並列処理を取り入れ、CAM計算の高速化を目的とした利用技術の研究を行います。

私たちは2013年10月に金型業界向けクラウドサービスとして、Manufacturing-Spaceをリリースしました。

お客様の設備に影響せずサーバー側でCAM計算を行うということは、最高の設備を使って高速に計算処理ができるということです。また、メンテナンスについてもお客様の手を煩わすことなく行うことができます。今後、ハードウェアの特性を生かしたCAM機能の開発も取り組んでいきます。

おわりに

加工負荷による工具のたわみなどで引き起こる寸法不良、工具破損、面品位劣化などは実際に加工しなければ簡単に検証はできません。今後も加工実績を積み、そのノウハウをCAM開発に反映させていきます。

沖縄へお越しの際は、ぜひ、ラボへお立ち寄りください。

一般社団法人ものづくりネットワーク沖縄様 Space-E/CAMで三線を製作

Space-E/CAMで製作した三線

この三線は、蛇皮模様や縄目までも再現されています。弦と留め具以外オールアルミで、実際に演奏することができます。Space-E/CAMを利用して5軸マシニングセンタで加工しました。

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