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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.34 システム紹介

Space-E Version 4.2 Modeler & CAMのご紹介

システム開発部 CADグループ グループマネージャー 杉原 隆夫
システム開発部 CAMグループ グループマネージャー 小日向 章

はじめに

本稿では、今年8月にリリースするSpace-E Version 4.2 (Modeler/CAM) の主な改良内容をご紹介します。

Space-E/Modeler Version 4.2

【ACIS R12の採用】

Dassault Systemes SPATIAL社のACIS R12を採用して、ソリッド化(ヒーリング機能とトレラント機能)の安定化を図りました。

周知のとおり、ソリッド化による若干の形状変形は避けることはできませんが、ACIS R12のソリッド化機能は、隣接するエッジどうしのステッチ(縫合)処理を大幅に改良することによって、最小限の形状変形で、正確なソリッドモデルを完成させることを可能にしています。

例えば図1は、従来のSpace-Eではトレランスを0.2mmまで緩めないと縫合できなかったエッジどうしの複雑な位相ずれを、Version 4.2の場合は0.01mmのトレランスで縫合することができた例です。

説明図


説明図
説明図
図1 微小な位相ずれに対するステッチ処理

このように、最低限のトレランスによるソリッド化が可能になったことによって、ソリッド化による元面どうしの滑らかさや、接触関係が失われることが少なくなり、その後の安定したモデリングが可能になりました。

【電極設計・支援機能】

電極部品と、加工指示図の作成作業を効率化するために2つの機能が追加されました。

■電極作成機能

電極部品の作成機能は、単純にキャビ・コア形状の凹凸反転モデルを作成するだけではなく、加工時の揺動量を考慮したオフセットや、補強のための勾配を付加することを可能にするなど、電極の細部を自動的にモデリングすることが可能になっています。

また、入力するキャビ・コア形状は、ソリッドモデルだけでなく、複合サーフェイスモデルも扱えるようになっていますので、他のシステムで作成されたモデルでも、比較的容易に電極設計を行うことができます。

画面例
図2 電極部品の作成
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

■加工指示図機能

電極部品が作成されると、加工指示図は、ほぼ自動的に出図することができます。このとき、電極部品の組付け位置の相対寸法や、電極部品の最大寸法が自動的に付記され、素材名称や放電ギャップ(揺動)などの加工緒言が表題欄に転記されるようになっています。

画面例
図3 加工指示図の作成
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【ダイフェース設計・支援機能】

プレス金型のダイフェース設計では、特に、成型品形状を、板金の塑性変形を見込んだ金型形状に変形する作業に、最も多くの時間を費やすと言われています。Version 4.2では、こうした作業を支援するために2つの機能が追加されました。

■見込み断面作成機能

フランジの基準線をガイドカーブとして指定し、さらに、ガイドカーブ上の任意点での反り角度の見込み量を入力することによって、見込み断面線が自動作成されます。さらに、簡単なモデルであれば、自動的に見込み後のサーフェイス形状を生成することもできます。

画面例
図4 見込み断面作成

■断面長測定・展開機能

断面の長さを累積して、その全長を別の断面に展開したときの展開点を作成します。

工程毎の成型品の面積合わせや、トリム型のプロファイル抽出作業にご活用頂くことができます。

画面例
図5 断面長の測定・展開

【大規模モデル対策】

3次元のデータ流通が一般的に行われるなかで、CAD/CAMシステムが扱うデータの規模は確実に大きくなっています。本バージョンでは、大規模モデルを扱うための仕組みとして、以下の改良に取り組みました。

■リソースモニター

Modelerを起動すると、タスクバーに"Space-Eリソースモニタ"が常駐するようになります。

この"Space-E リソースモニタ"は、常にModelerの仮想メモリの利用状況を監視し、利用可能な仮想メモリの最大値(2Gバイト)に近づくと、実行中の処理を安全に中断して、Modelerを一時的に終了するよう警告します。

説明図
図6 タスクバーのリソースモニタ

これによって、仮想メモリ不足による不慮のシステムダウンや、モデルの破壊という、致命的なトラブルを回避することが可能になります。

■モデルサイズの縮小化

新しいモデルファイルの形式として"MDZ"をサポートします。MDZ形式は、従来のMDP形式の約30%の大きさに縮小されており、従来のMDP形式のモデルファイルの補助としてお使いいただくことができます。

■図面データ(DXF)変換の効率化

DXF中のポリラインの変換を改良することによって、図面モデルが約20%(従来比)の大きさで取込むことが可能になりました。(この改善はDXF R12形式を読込んだ場合に適用されます。)

【入力操作の効率改善】

■プリ・セレクト機能

マウスでモデルをなぞるだけで、その時々の入力モードに応じた入力要素や座標値をプリセレクトします。ユーザは、プリ・セレクトされた図形や座標を、いったん画面で確認して入力することができますので、入力ミスを防止でき、さらに、次候補選択のための繁雑なマウス操作を回避することができます。

画面例
図7 プリ・セレクト機能

■ツールバーの簡易カスタマイズ機能

アイコンをドラッグ&ドロップするだけで、簡単にコマンド・ツールバーをカスタマイズすることが可能になります。その時々の作業内容によって、頻繁に使うアイコンを"マイツールバー"にまとめておくと、その後のコマンド選択がとても簡単になります。

説明図
図8 ツールバーの簡易カスタマイズ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

■矩形選択機能

矩形領域で囲みながら、要素を一括選択するとき、矩形の指示方向(右左)によって、暗黙の包括条件(一部を囲む、全体を囲む)を指定することが可能になります。

【周辺システムとの相互運用性の改善】

■SATによる他社3Dシステムとの相互運用

最近は、例えばInventor(MDT)、IronCAD、SolidworksやCimatron-Eのように、SATファイルを直接入出力できるシステムは増えており、こうしたシステム間のデータ授受には、その媒体としてSATファイルが活用されることが多くなっています。

Space-Eの場合も、Version 4.2から、クラス(色)属性をSATファイルに保存し、読込むことができるようになりますので、上記システムとのよりスムーズな相互運用が可能になります。

■ソリッドの構成面への色指定

IGESやSTEPという一般的な流通ファイルを使って、公差など設計情報を受け渡すために、ソリッドの構成面に色を付けてモデルを流通させるという運用がよく行われています。こうした運用形態に対応するために、Space-EもVersion 4.2から、IGESやSTEPを経由して取込んだ構成面の色を表示したり、保存したりすることができるようになりました。

画面例
図9 ソリッド構成面の色属性

■Space-E/Draw・AutoCADとの相互運用

Version 4.2から、アレンジ平面に作成した図面の寸法線や文字列がDXFファイル(R12形式)やMDファイル(Space-E/Draw)に保存することが可能になります。これによって、AutoCADやSpace-E/Drawとの間で、図面データの相互運用が可能になります。

画面例 画面例
図10 ModelerとDrawでの図面データの相互運用
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

Space-E/CAM Version 4.2

Space-E/CAM Version 4.2では、等高線荒取り加工、等高線仕上げ加工、削り残し加工、ペンシル加工の処理の強化を中心に、機能の追加を行っており、主な内容についてご紹介します。

※画面は開発中の物で、正式版では一部異なる場合があります。

【新ロジック経路による処理の安定化と改善】

等高線荒取り加工、等高線仕上げ加工、削り残し部加工、ペンシル加工の計算部を新しく開発し、より安定した処理ができるようにします。またアプローチ動作や回避動作の強化により、加工面の品位向上や加工時間の短縮が可能になります。いくつか例を示します。

等高線荒取りでは、切り込み幅以上の半径の円弧を使用したピック動作により、従来のピック動作に比べなめらかな工具の動きを実現します。

画面例
図11 等高線荒取りのピック部例

等高線仕上げのアプローチに3次元アプローチを対応します。角度指定機能を使用する場合、経路軌跡が開形状になりがちですが、なめらかな3次元アプローチでアプローチ地点の加工面品位を保つことができます。特に水平アプローチでは十分でない平坦部分へのアプローチで効果が期待できます。

画面例
図12 等高線仕上げのアプローチ例

【チェック面参照機能の追加】

走査線仕上げ機能と平坦部機能にチェック面参照機能を追加しました。チェック面はサブモデルの中から選択できます。

説明図
図13 チェック面指定画面
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【自由経路機能の強化】

画面例 画面例
図14 ワイヤーフレーム投影機能

ワイヤーフレーム形状を経路計算時にモデルに投影する機能を追加しました。投影は、工具形状を考慮した場合と考慮しない場合の選択ができます。この機能を使用することで、事前にワイヤーフレーム形状を作成する作業が軽減できる場合があります。

また3次元ワイヤーフレーム形状を、3次元形状を保ちつつ2次元オフセットする機能も追加しました。

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図15 2次元オフセット設定画面と経路
(左上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【サブモデル名称設定機能の追加】

加工モデルのサブモデル設定機能で、サブモデル1以降の名称を設定できるようにしました。モデル作成者の意図した名称を使用することで、経路作成時のサブモデル選択利用で、設定モデルの内容の把握が容易になります。

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図16 サブモデル名称設定画面と参照画面
(左上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【加工範囲機能の改良】

プレビュー画面での操作で領域を作成し追加できるようにしました。

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図17 共通加工範囲設定画面
(左上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【加工シミュレーションテーパーシャンク対応】

加工シミュレーションで、テーパーシャンクを考慮したシミュレーションが行えるようになりました。

説明図 画面例
図18 工具設定とシミュレーション画面の工具
(左上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【工具・ホルダー情報のインポート/エクスポート】

工具パレット、ホルダーパレットのデータをcsvファイルで入力あるいは出力できるようにしました。大量データの作成や他システムとのデータの共有をサポートします。

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図19 工具パレットエクスポート機能
(左上図をクリックすると拡大図が表示されます)

【その他の追加機能】

面なり加工の計算時間を平均2/3に短縮しました。ガイドカーブ加工経路タイプが「オフセット」の場合に作成される経路の幅が設定できるようになりました。

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