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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.58 お客様事例

将来ある子どもたちのために
Space-Eによるモノづくり塾を

下館精機株式会社様は、パソコン、PDA、携帯電話など情報通信機器分野に利用される液晶ディスプレイ製品の設計および金型加工、製品製作を行っています。このたび、モノづくりの楽しさを子どもたちに伝えたいという長年の想いから、モノづくりの技術を教える塾として株式会社オフィスサイズを設立されました。

そこで今回は、株式会社オフィスサイズの設立の背景、モノづくり塾への取り組みについてのお話を中心にお伺いしました。

超精密微細加工へ転換 - 下館精機 -

人物写真
下館精機株式会社
代表取締役
株式会社 オフィスサイズ
顧問 鈴木 勇 様

当社は、今年で創業41期を迎えます。プラスチック製品が世の中に出始めた頃からプラスチック金型一筋にやってきた会社です。
その業務の転機がきたのが9年前の平成13年でした。

その頃、世の中の産業構造が変わりつつあり、これまでの一般の金型だけを主力にしていては、会社の状況が厳しくなると感じていました。では、具体的に新しい事業は何かと考えたとき、ちょうど携帯電話が出回り始めていたので、その携帯電話の表示部の液晶に使われるバックライトの部品であれば、次の主力製品になるのではないかと思いました。

しかし、そのとき当社が持っている機械では精密加工ができなかったため、すぐにヨーロッパの展示会に超精密微細加工ができる機械を探しに行きました。ところが、その展示会には残念ながら希望していた機械がなく、意外にも国内にその機械があることが分かり即導入することにしました。機械メーカによれば、国内でこの超精密微細加工機を導入したのは、当社で7台目だということでした。この超精密微細加工機は、価格が一般の機械の10倍で億単位だったので、今思うと大変な設備投資でした。

現在では、従来の一般的な加工が2割で、超精密微細加工が8割になっています。9年前に危機を感じて、超精密微細加工に軸足を移す判断をして良かったと思っています。

プリズム製品の金型加工
プリズム製品の金型加工
プリズム製品の金型加工

プリズムレンズの金型製作 - 下館精機 -

■ナノレベルの加工

成形品 (左:バックライトパネル 右:バックライトフレーム)
成形品
(左:バックライトパネル 右:バックライトフレーム)

携帯電話のバックライト部品に導光板のプリズムレンズがあります。このプリズムレンズの金型を超精密微細加工で製作しています。

携帯電話の液晶部分は、側面にゴマ粒より小さいLEDが付いています。その光は、プリズムレンズを伝わって、光源から離れているところでも同じ明るさで表示されます。

このプリズムレンズの表面形状は、ギザギザで細かくカットされています。これはノコギリの刃のような形状でナノ(nano)レベルの加工をしています。加工ピッチは0.5ミクロン(500ナノ)です。非常に細かいカットなので、光の当て方によっては色が変わります。金型の表面に蛍光灯の光を当てると反射して光がハレーションを起こします。この虹模様が見えるのは微細加工が施してあるということです。

現在は、携帯電話だけでなく、いろいろな製品の液晶部に使われるバックライト部品の金型を製作しています。

超精密微細加工機(プリズム加工)
超精密微細加工機(プリズム加工)

この超精密微細加工機を設置している部屋は、±0.1度で管理されている恒温室です。削っているときに人が入ると、それだけで恒温室の温度が変わってしまい不良品になるという非常に緻密な加工です。

■Space-E をカスタマイズ

プリズムレンズは、Space-Eでモデリングをしてパスも作成しています。

当初は、プリズムレンズの点群を算出する作業が大変でした。三角関数のsin、cosカーブの計算をするのに2~3日かかっていたので、そのデータを短時間に作れる方法はないのかNDESに相談して、Space-E をカスタマイズしてもらうことになりました。それからは、点群データを簡単に作れるようになり、面倒な作業が無くなったので作業時間の短縮につながりました。

会社設立の背景 - オフィスサイズ -

人物写真
下館精機株式会社
取締役副社長
株式会社 オフィスサイズ
代表取締役
大貫 豊子 様

下館精機は、以前、金型部門(本社)の他に成形部門を持っていて事業展開していましたが、ある時期から成形部門の仕事が落ち込むようになりました。そして、追い討ちをかけるように海外との価格競争が始まり、半値八掛け二割引という言葉が現実の状況になりました。この価格競争では海外に勝てるわけがないと判断して、3年前に成形部門を閉鎖したのです。

この成形工場は、かつて成形機が22台も入っていた場所で、630坪のかなり広いスペースを今も残しています。そこで、このスペースをうまく活用できないかと、下館精機の社長と相談していたときに、NDESの営業に何気なく話をするとCAD/CAM教室を開いてはという案が出てきたので、これだとひらめきました。以前より、CAD/CAMを使ったモノづくりの塾が不可欠だと思っていたので、これがオフィスサイズを設立する発端になりました。

今、金型の仕事は3Kだといって、モノづくりの会社に就職を希望する若者は少なくなっています。ましてや、現在のような就職難の時代に突入しても、モノづくりの会社求人に応募する若者は多くありません。ですが戦後の日本を支えてきたのは、工業界のモノづくりに携わる方々です。日本はモノづくりを得意とする国です。そのモノづくりの楽しさをCAD/CAMを通して子どもたちに教えていきたい。現代の子どもたちは、PC に慣れているので、そのPCを利用した作り方を教えていくことで、自然とモノづくりの楽しさが身についてくるのではないかと考えました。

当社でも、入社した社員は努力してかなりの技術力を付けるのですが会社に定着しないのです。なぜなら、3Kだけでなく、モノづくりがないがしろにされがちだからです。真黒になって徹夜まがいなことを一生懸命やっているのに、それに見合った大きな利益を出せないため、モノづくりから簡単に離れていってしまいます。もっと手軽に収入を得られるところに流れていくのは当然です。ここでしかできない技術を追及して、他に負けないモノづくりの技を見つけなければいけないのです。
それには、子どものときからモノづくりに興味を持ってもらう塾があってもいいのではないでしょうか。

モデリング・金型設計
モデリング・金型設計

下館精機は、41年の実績がありモノづくりに対しての経験や知識、ノウハウを蓄えている会社です。この実績を基盤にしたモノづくりの技術を教える塾として、平成21年1月に株式会社オフィスサイズを設立しました。今の時代は、金型を製作して販売するだけでなく、モノを作る技術を提供することも必要不可欠だと思います。

モノづくり塾への取り組み - オフィスサイズ -

■塾のカリキュラム

既に受講の申込があり、4月中旬から塾を開校しています。使用するCAD/CAMはSpace-Eです。最終的な対象は子どもたちですが、まずは一般の方を対象にして、若者から定年の方まで幅広く募集する予定です。
朝昼晩のクラスや土日のクラスも考えてもいいと思います。また、キッズクラスは夏休みを利用して開きたいと考えています。

クラスは、一般の初級、中級、上級の他、キッズクラス、シルバークラスを開講予定です。オフィスサイズの利点は、CAD/CAM講習だけとは違い、下館精機の現場で実習ができるということです。

  • 初級クラス
    NDESのSpace-Eのテキストで進めていきます。線、円など平面で基本的な形状を作成する内容とCAMでデータ作成までの講習内容。
    週1回で3ヶ月のクラスです。
  • 中級クラス
    図面からモデリング作成やデータ作成。
    週1回で2ヶ月のクラスです。
  • 上級クラス
    金型製作を志す方を対象に、型割を含む本格的な金型づくりの技術を習得していただきます。
    週1回で半年のクラスです。

■工業高校とのタイアップ

工業高校と一緒にできればと考えています。学校で理論を学んで、実際の加工はオフィスサイズで訓練する。工業高校にも実習はありますが、オフィスサイズでは実務に沿った訓練ができます。

学校の授業にプラスして、実際の仕事をしている工場で訓練することで、就職したときに即戦力になることも期待できます。実際、当社でもそうですが、入社後に実務ができるまでに最低3 年はかかります。それが、入社後に即戦力になるのであれば就職も有利だと思っております。

近くに工業高校がありますので、将来的には利用していただけるように提案していこうと考えています。

■派遣会社の訓練にも

派遣会社からも声をかけていただきました。製造業へ派遣する社員を受講させたいそうです。

以前、当社の仕事が忙しいときに派遣会社に技術者を探していただきましたが、当社が望む金型の技術を持った方はいませんでした。やはり、今はこの技術を持っている人は、派遣会社にはいないのかもしれません。

■子どもたちにモノづくりの楽しさを教える

今の子どもたちは、モノづくりから離れているので遊びの中でのモノづくりを考えています。

まずは、キッズクラスの内容で形状をマンガチックにすれば、子どもたちも楽しみながら取り組んでもらえるのではないでしょうか。子どもたちの感覚は、大人が目を見張るものがあります。CAD/CAM の操作に慣れてしまえば、自由に形状を作れるようになるのも早いと思います。

また、作った形状が手に取って見れるように積層造形の準備も予定しています。たとえば、自分で作ったもので遊んだり、誰かにプレゼントできれば、モノづくりがより身近に感じられると思います。

子どもたちにモノづくりの楽しさを教えて、将来就職するときにモノづくりの会社を選んでもらいたい、ということが最終的な目標です。

野球、ゴルフなど世界で活躍できるスポーツ選手がいるように、モノづくりでも世界で活躍できる技術者がもっと出てきてもいいと思います。手先の器用な子どもたちが、モノづくりを身近に感じて興味を持ってもらえるように、その初歩的なことが当社でお手伝いできれば幸いです。

今後は、一般の方を対象にした塾の様子を見ながら、幼稚園児や小学校低学年を対象にしていく予定です。

NDES へ

■金型、成形、材料を考慮したソフトに

金型はプラスチックメーカの道具ですから、成形のことを熟知していないと良い金型はできません。金型をただ削るだけならどのCAMでもできます。成形技術からフィードバックした金型作りをすることが、今後のCAD/CAMメーカの課題ではないでしょうか。

当社でも設計、加工、成形に関して、いろいろな経験を積んでノウハウもありますが、実際のところ失敗の繰り返しです。成形の見込みを入れたりシミュレーションもしていますが、流動解析の結果も確実ではありません。ノウハウがあっても1回で成功することは難しいことなので、今そのソフトを要求しても無理なのかもしれませんが、NDESには我々と向き合ってもらって、金型メーカ、成形メーカ、樹脂メーカの技術を集約したソフトの開発をお願いしたいと思います。

NDESのお客様は金型メーカが多いと思いますが、成形メーカや材料メーカの意見も聞いていただけたらと思っております。各々の技術は経験者でなければ分からないので難しいことは確かですが、今のままではだめです。

そうすることで将来的には、金型設計すると成形条件まで添付されるソフトが出てくるのではないでしょうか。

■サポートが一番

NDESとの付き合いは、14年~15年前のGRADE時代からです。その頃から、いろいろなメーカのCADを導入して一通りのCADは使ってきました。自動プロから数千万もするCAD/CAMを何台も導入してきました。これまでは、どれがいいのかを見抜く眼力がなかったのです。でも、ある程度の経験を踏んだので、今は良し悪しの判断ができるようになったと思います。機能的には、どれも大差はないのですが、今はSpace-Eに落ち着きました。Space-E/Moldで穴あけ連動まで行い、作業の効率化を図っています。NDESのサポート体制が一番良かったので立ち上がりも早くできました。
ではSpace-Eに満足しているかというと、要望はたくさんあります。

NDESの一番良いところはサポートです。これからも、相談したいことがたくさんありますのでサポートをよろしくお願いいたします。

おわりに

プラスチック金型設計、製造、成形のノウハウを持たれて、本物のモノづくりの技術を教えられることがオフィスサイズ様の強みだと思います。
モノづくりを体験した子どもたちは、そこから何かを得て成長し、将来は新しいモノづくりの道を切り開く技術者として活躍されることを願っています。

大変お忙しいところ、貴重な時間を割いてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

会社プロフィール

本社前・写真
下館精機株式会社 本社前
本社 〒308-0846 茨城県筑西市布川1249-12
設立 昭和45年3月
資本金 1,000万円
事業内容 プラスチック金型設計・金型製造・射出成形
特殊加工 超鏡面加工、超精密プリズム加工
本社 〒307-0001 茨城県結城市結城12087-53
設立 平成21年1月
資本金 350万円
事業内容 モノづくり塾(CAD/CAM、金型設計、加工の教育)

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