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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.69 お客様事例

Space-E/Pressへの期待はプレス金型3次元設計の独自構築

聖徳ゼロテック株式会社様は、プレス金型・製品における総合メーカーです。ものづくりの基本となる金型を原点におき、金型の設計・製造、プレス製品の生産、超精密部品の加工、試作支援において、常に改善、創造、工夫を施すための技術を追及しています。そして、お客様の要望に対して、満足いただける新しいご提案ができるように日々邁進しています。

今回は、聖徳ゼロテックの「ゼロへの挑戦」、Space-Eの導入について、生産管理システムの構築、今後の展開などのお話をお伺いしました。

限りない「ゼロへの挑戦」

代表取締役 古賀 鉄夫 様
代表取締役 古賀 鉄夫 様

昔からゼロという言葉が好きで、社名にもゼロを付けて聖徳ゼロテックにしています。このゼロは、「±0」という意味もありますが、全てをゼロベースで考えるという思想を持っています。何かを判断する場合、これまでの常識や経験に基づいて検討した方が結論は容易に出せます。しかし、それでは、新しい展開は望めず、技術の進歩も限られます。そのため、全てをゼロベースで考えて物事に当たるということを実践しています。創業当初は、「ゼロミス」、「ゼロ遅延」、「ゼロトライ」の3つを掲げていました。今では、これは当然のことになっているため、新しく3つのゼロへの挑戦を作りました。

「限りないゼロへの挑戦」

  1. 無駄ゼロへの挑戦
  2. 不満ゼロへの挑戦
  3. 停滞ゼロへの挑戦
1. 無駄ゼロへの挑戦

我々が考える第一の無駄は材料です。例えば、10グラムの製品は、10グラムの材料で作ることが理想的で、これは、歩留まりが100%ということです。この歩留まりとは、材料から作られる製品の割合で、これが高いほど材料の無駄が少なくなります。

プレス業界では、順送金型が一般的です。また、トランスファ金型も昔からある技術です。この順送金型は、高速加工が容易にでき段取りも簡単ですが、歩留まりが低いのが問題です。反対にトランスファ金型は、歩留まりは高いのですが、高速加工が難しく、段取りには熟練と時間が必要になります。そこで、それぞれの長所を活かすために合体させるというご提案です。これがハイブリット金型です。若い人も容易に扱えて、高い歩留まりが実現できます。

その他にも、歩留まりを限りなく100%に近づけるために、製品図面の変更および金型構造のご提案をいたします。そして、金型製作期間を縮めるためにハイスピードな超精細切削加工にも取り組んでいます。

どのような小さなことでもご提案していくことが今後のコスト低減に必要だと考えています。

2. 不満ゼロへの挑戦

年に1回、顧客満足度の調査を行っています。その結果は、品質、納期、対応について、満足しているという回答をいただいています。今後も、コミュニケーションによる信頼をさらに深めて、より技術的なご提案ができるように取り組んでいきます。

会社にとって顧客満足度は重要ですが、社員満足度もさらに重要です。社員が楽しく仕事ができないと、いろいろな発想も出てこないと思います。

そこで、当社では、「なんでも提案」と「赤札作戦」を実施しています。この「なんでも提案」は、その言葉通りで、気が付いたことがあれば何でも目安箱に入れることができます。

例えば、ゴミを放置しないとか、散らかっているので整理するとか、身近なことでいいのです。小さなことでも気付いたことを書いて、それを続けていくと、これまで気付かなかったことにも気付くようになります。継続することが一番重要だと考えます。この「なんでも提案」は、会社が全て1枚100円から2千円で買い取るため、最低ランクでも4~5枚出せば、その日のお弁当代になります。そして、A~Fまでのランク付けを集計して、人事評価にもつなげています。

以前は、改善という言葉を使っていましたが、重たく感じるため、気軽にできる「なんでも提案」に変えました。

次の「赤札作戦」は、週末に全体を見て、正常か、異常かを判断して赤札を貼ります。この赤札には、どこに貼ったのか、誰が貼ったのか、対処する日にちを書き、集めて改善しています。会社全体ですから、社長でも机が整理されていなければ、赤札が貼られます。

この「赤札作戦」のリーダーは、当番制で新人もリーダーになるため、勉強になります。この二つが、当社の組織力を向上させるための全員参加の活動です。

3. 停滞ゼロへの挑戦

世の中が変化するスピードは、ますます速くなっています。この「停滞ゼロへの挑戦」は、我々が、その変化のスピードにいかに対応していくかという挑戦です。

まず、お客様とのキャッチボールのスピードを向上させて、設計においては、絶え間なく試行錯誤を繰り返し、改善のご提案をいたします。これは、新しい技術だけをご提案するのではありません。温故知新で、古い技術と新しい技術を組み合わせることで、新しいアイデアにつなげていきます。

さらに、我々は「できない」を「できる」に変えるため、「IF文」の発想でシミュレーションするようにしています。いつも社員に言っているのは、『「ゼロ」は絶対ありません。狙い値を何処におくか、今作業していることが裏目に出たときのことを考えよう。』ということです。

例えば、金型設計において、もし上手くいかなかった時、作り替えるのか、修正できるのか、それに対処できるのか、常に考えて設計をするということです。

Space-E/Pressの将来性に期待

Space-E/Press(図面)
Space-E/Press(図面)
Space-E/Press(型構造)
Space-E/Press(型構造)

プレス業界でも、3次元CADの導入は新しいことではありません。これまで、当社は、いろいろな3次元CADを見てきましたが、まだ2次元でいいと思って3次元を導入してこなかった訳です。しかし、これからの時代は、デジタルしか知らない社員が入ってきます。

ベテラン社員は2次元の世界が当たり前ですが、今からの人間は2次元で想像することは難しいでしょう。そうすると、今後は3次元CADの導入は避けて通れないものと思います。以前から展示会や講習会に行っては、多くの3次元CADメーカーの比較検討を行ってきました。

その中でSpace-E/Pressは、ソフト価格、保守料が高いのです。さらに、設計のスピード性、標準部品の内容、操作性、メンテナンス、将来性、シミュレーションを比較した結果、設計を担当する社員の意見では他3次元CADメーカーに軍配が上がっていました。

ですが、私には、何事もゼロベースで検討するという思想があります。それで、他3次元CADをゼロから見たとき、導入実績が数多く完成度が高いソフトのため、現状の標準機能の向上は、あまり期待できないのではと考えました。それに、この世の中の厳しい時期での投資です。やはり、完成度の高い3次元CADへ要望を出すと、カスタマイズの提案をされます。

現在は、順送金型の3次元CADとしてSpace-E/Pressの評価は高い方ではありませんが、NDESは、自社でCAD/CAMを開発している強みがあります。我々も今すぐに3次元化に取り組む必要はないため、Space-E/ Pressで我々が希望する自社努力で3次元金型設計の構築ができるようにNDESへお願いしました。さらに、将来的にクラウドへの展開など、期待できる点があるため、Space-E/Pressに夢をかけたということです。

それから、同業者と同じ3次元CADでは、その中での競争になるため、異なる3次元CADを使うことで差別化を図りたいという思いもありました。

Space-E/CAMによる直彫り

金型部門長 大海 孝幸 様
金型部門長 大海 孝幸 様

順送金型の3次元化は必要性が薄かったのですが、 CAMは別です。3次元の直彫りは絶対避けては通れないと思い購入をしました。

それまでは手加工を含めて、電極を作成して放電して、いろいろな工作機で加工する必要がありました。それが、ダイレクトに切削できるので加工の無駄を省けるようになりました。

今後は、Space-E/ CAMを使って、さらに焼入れ鋼の鏡面仕上げおよびハイスピードな超精細切削加工へ挑戦していきます。

生産管理システムの構築

独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)が開発した業務ソフト開発基盤「MZプラットフォーム」を利用して、生産管理システムを自社で構築しました。以前は、メーカーに依頼して当社独自の生産管理システムを開発してもらったり、パッケージ版で我慢をして使用していました。しかし、使い込んでいくうちにいろいろな箇所で不満が出てくるようになり、その度に追加のカスタマイズが必要でした。これでは、いつまで経っても機能に満足できず、投資もかさむばかりでした。

この「MZプラットフォーム」は、システム開発の専門知識がなくても生産管理システムを構築できます。そのため、社内会議で新しいやり方が決まれば、すぐに反映することができ、満足できるまで改造を繰り返すことで仕組みづくりができます。さらに、改善するだけでなく、使用した回数を表示させて回数がカウントされないものは削除しています。

また、「MZプラットフォーム」の導入効果として、当社の事例を産学官交流研究会などでプレゼンテーションすることを全国で依頼されました。このような功績が認められ、産総研より 2010年に感謝状をいただき、「IT経営実践認定企業」全国100社にも選ばれました。

今後の展開

人材育成

会社が成長する要因として、若い人をいかに職人に育てていくかということもあります。即戦力になる熟練者を望まれる会社もありますが、当社は、若い人をできるだけ採用しています。

熟練者は、経験と異なる状況になるとマイナスの意見を持つことが多いのですが、経験がない若い人は素直に取り組み、尺度がない分いろいろなことに挑戦して新しいやり方を発見する可能性があります。

デジタル8割とアナログ2割

金型部門リーダー 古賀 真治 様
金型部門リーダー 古賀 真治 様

もし、金型製作がデジタルだけで 100%できるようになれば、CAD/CAM/CAEやマシニングセンターがあれば海外でもどこでも金型製作ができます。ですが、現状ではアナログの部分は残っています。当社の目標は、8割のデジタル化と2割のアナログです。この2割のアナログは、各金型メーカーが切磋琢磨して、独自の技術を磨いています。

金型製作のゼロへの挑戦

金型製作では、ゼロはあり得ないことですが、そのゼロを目指しています。これが技術の難しいところで、ゼロにするには、どこかを逃がしたり、ぬすんだりするアナログの世界が広がっています。これは図面の公差でも表せないことがあり、お客様が求める品質機能のゼロを見つけることが重要なのです。そこを早く見つけるのが「 IF文」の考え方であり、その間合いが分かる人材も含めて、挑戦中です。

プレス金型設計の3次元化への取り組み

Space-E/Press(レイアウト)
Space-E/Press(レイアウト)
Space-E/Press(製品形状)
Space-E/Press(製品形状)

今は2次元で金型設計を行うことに問題はありませんが、将来的には3次元で金型設計を行い自動化することが目標です。それには、Space-E/Pressを使って我々独自でプレス金型設計の標準化を行うという大きな目標が入っています。

もし、NDESがその仕組み作りに数年かかったとしても、我々の考え方、やり方で構築できるのであれば、それで目的は達成できたと言えます。やはり、社内努力をして標準化することに照準を定めたいのです。それに、他社と何で差別化するのかを考えると構築することが重要あり、今後の勝ち残る策と言えます。

NDESへ

我々が構築した生産管理システムのように、ユーザが自由にSpace-Eをカスタマイズできる環境を提供してほしいと思います。難しいシステム開発の専門知識がなくても自社努力でSpace-Eをカスタマイズできるようになれば、販売するNDESも楽だと思います。目指すのは、Microsoft ExcelのようなCADです。NDESは構築方法を教えるだけで、ユーザが自由に作ればいいのです。

これからの金型業界は、今までと同じことをしていては生き残れません。向上心がある元気な会社ほど特長があるため、その要望を取り込んでソフト改良していては、NDESの開発者が何人いても追いつかないでしょう。

そこで、例えば、独自の形状を変数化して Microsoft Excel に入力しておくと、CADと連動して形状を配置できるというようなことが簡単にできれば、金型業界でなくてもニーズはあると思います。さらに、その組み込むための自由度がどれだけあるのかというのも重要です。これからのソフトは、業界を絞らず利用者を広げる方が勝ちだと思います。

おわりに

会社パンフレットは、社員の方々の写真が全面に掲載されていました。以前は、設備の写真が中心になっていたそうです。やはり、会社の財産は社員であり、人とのつながりを大切にされていらっしゃることが伺えました。

大変お忙しいところ、貴重な時間を割いてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

会社プロフィール

社屋
社屋
社屋
所在地 〒840-0036 佐賀県佐賀市西与賀町大字高太郎172
創立 1975年5月
資本金 3,000万円
従業員 30名
事業内容 プレス順送金型 設計/製作
ハイブリッド金型 開発
半自動インライン 設計/製作
プレス生産加工(タップ加工/絞め/組立)
超精密部品加工
試作支援

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