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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.83 お客様事例

微細な精密加工技術を生かし、 高精度な金型部品に挑む

「田んぼアート」で知られる青森県田舎館村に青森工場を構える株式会社ソルテック様は、工業彫刻で培ってきた微細加工や精密金型を得意としています。精密彫刻、金型彫刻、放電加工、精密電極加工などの技術力を結集して、金型設計・製作までを一貫生産できる体制も整えています。3次元CAD/CAMであるSpace-Eをいち早く導入し、その後はクラウドサービスManufacturing-Spaceを利用しています。Space-Eにおける活用法や導入効果などを伺いました。

 
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多くの観光客を集める田舎館村の田んぼアート

0.2ミリの文字を彫る高度な微細加工技術

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株式会社ソルテック
青森工場 工場長
平井 俊之 様

ソルテック様は、東京都墨田区に本社、青森県田舎館村に青森工場を構え、工業彫刻から始まった会社です。親会社の株式会社塩入製作所様は、金型彫刻や精密刻印において、日本のトップ技術を有する工業彫刻メーカーです。その技術を継承しながら、マシニングセンター、ワイヤカット放電加工機、NC放電加工機、3次元測定機、3次元CAD/CAMなどの設備を整え、工業彫刻から金型部品および金型製作を手掛けています。彫り込みや加工は3次元形状になるため電極製作や放電加工も得意としています。同社では「高品質の維持、絶えざる技術の向上」をスローガンに高精度の製品を提供してきました。

取材に伺った青森工場 工場長の平井俊之様は、高い技術力の原点となる工業彫刻について次のように話します。「社員が自ら工具(彫刻用カッター)の刃先を研いで金型部品に文字を彫り込みます。その工具は、直径4ミリ~20マイクロメートルまで研ぐことが可能で、減ったり折れたりした場合は、その都度研ぎ直しています。彫刻する文字のサイズは、針よりはるかに細い最小0.2ミリまで加工でき、高度な技術を必要とする微細加工が当社の特長です。もちろん文字の書体を指定することも可能です」。

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彫刻用カッター
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精密刻印のサンプル

最終工程の彫刻加工と寸法保証ができる体制

このような彫刻は、例えばスマートフォンなどで使われるコネクターの金型部品に加工されています。年々進むスマートフォンの小型化、高機能化とともに金型部品のサイズは小さくなり、高い精度が求められています。その加工の難しさについて、平井様は次のように説明します。「金型製作の工程で、彫刻加工は最終工程になります。もし、失敗すれば最初から金型部品を作り直さなければならず、気が抜けません。とはいえ、万が一問題が発生しても、当社は社内で金型部品の製作ができるので、お客さまからは安心して任せられるとの評価をいただいています」。

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精密刻印は手作業の職人技
(切削グループ 今 大和様)

さらに、ソルテック様の特長として「寸法保証」が挙げられます。社内で整えている検証体制により、彫刻加工する文字のサイズ、幅、深さ、位置関係などについて顧客が求めるスペックの通りに彫刻できているのかを測定し、寸法を保証するのです。

そうした微細な金型部品にキャビナンバーやメーカー名などの文字を彫刻する技術が評価され、「日本における微細な工業彫刻などは、ほとんど当社が行っています」と平井様は自信を持って話します。

小型化された微細な製品の金型部品の製作

最近では、非常に高い精度を求められる金型部品製作の依頼が多く、その一つにスマートフォンのレンズフォルダーの金型部品があるそうです。

「レンズフォルダーは、カメラでピントを合わせる機能なので要求精度が非常に高い製品になります。この製品の難しさは、ネジの締め付けトルクの調整が製品を組み込むときの精度につながっているところです。このトルクの調整ができなければ金型の修正になり、調整と修正を繰り返すという大変難しい部品です。スマートフォンの小型化が進んだことでカメラを配置する位置が狭くなってきたこともあり、難しさを増しています」(平井様)。

その他には、自動車のエンジンに刻印するロットナンバーの入れ子、製薬関連として錠剤の文字や線が入った金型、ボタン電池の金型などさまざまな分野の彫刻加工や金型製作を行っています。

2001年にいち早く導入しSpace-Eを活用

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株式会社ソルテック
加工グループ リーダー
下山 誠 様

2001年にNDESの3次元CAD/CAMシステム「Space-E」を導入しています。その経緯について加工グループ リーダーの下山誠様は、次のように話します。「導入のきっかけは、同業の彫刻会社様からの紹介でした。Space-Eは、自由曲線の加工が簡単に行えたので、彫刻の加工に生かすことができると期待できました。また、その頃は3次元CADの需要が増え始めており、当社はいち早く自動プロからSpace-Eに切り替えていたので、お客さまからの3次元CADデータを基に加工してほしいという依頼に、すぐに対応することができました」。

それから、図面レスの加工に対応できたことも、Space-Eを導入した効果です。図面の作成時間を短縮するため、3次元モデルの面に色を付けて、その色で公差指示を判断して図面なしで加工していきます。

「3次元CAD/CAMを導入しているということで、お客さまから図面レスの説明会に呼ばれ、そこからお付き合いが始まったこともあります。もし、Space-Eを導入していなければ、こういうビジネスチャンスはありませんでした。また最近では、紙の図面が来ても製品部分は3次元モデルを参照することが多くなりました。さらに当社で金型設計して加工する場合は、図面ではなくモデルを参照しています」(下山様)。

下山様はSpace-Eの利点を次のように説明します。「Space-Eは機能が豊富で使いやすいと思います。他CAMの中には、簡単な操作でNCプログラムが作成できるものがありますが、逆に誰にでもできるような加工しかできないと思ってしまいます。それにSpace-E/CAMは、かゆいところに手が届くような機能があるので気に入っています。また、操作の途中で疑問点があると、コールセンターに問い合わせれば的確に対応してもらえるので、満足しています」。

厳しくなる精度に技術力と最新設備で対応

精密電子機器の小型化・高機能化などを背景に、金型部品加工は従来に増して高い精度が求められます。「年々、お客さまの要求が厳しくなっています。微細加工の寸法公差は、±5マイクロメートルだったのが±3マイクロメートルになり、精度の要求は上がっています。さらに、その精度を検査するためには、常に最新設備が必要になります。このようにお客さまの要求に対応することで、必然的に技術力が向上していると思います。その結果、海外に負けることなく、1ランク上の仕事を受注できています」と平井様は打ち明けます。

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マシニングセンター

また、一つの金型部品加工を行うのに時間がかかるようになってきたことも最近の傾向です。以前に比べ複雑な形状の加工が多くなり、放電加工だけで数百時間を要することもあります。「精度が高い上に、工程数が増えています。数十個の電極を使った放電加工もあり、それが1個でも失敗するとそれまでの何百時間がゼロになります。このようにリスクが高く他社が受けない仕事が来るので気が抜けません」(下山様)。

ソルテック様では、技術力を高めるために技能検定の資格取得やコンテストの出展を推奨し、切削ドリームコンテストでは微細加工部門で賞を受けられています。その上、展示会の出展にも積極的に取り組まれ、微細加工の技術をアピールしています。

データコンシェルジュサービスにより
打ち合わせはタブレット端末で

ソルテック様は現在、「Manufacturing-Space」データコンシェルジュサービスも利用しています。その狙いについて平井様は、次のように話します。「お客さまとの打ち合わせで、社内で作成したSpace-Eのデータを参照しながら説明できるので便利です。CADマルチビューアー機能を使えば、CADをインストールしていないタブレット端末を使って外出先でデータを参照できます。今後は、設計者にもタブレット端末を持たせて、お客さまの前で図面を開いて説明できれば、打ち合わせの効果は上がります」。

また、データコンシェルジュサービスは、クラウド上のデータセンターとしてデータ管理や、ファイル転送などのサービスを利用することも可能です。

田舎館村役場プラモデルの製作にSpace-Eを活用

ソルテック様では、オリジナルのホビー商品の企画・販売も行っています。ホビーチームのチームリーダーを兼務する平井様は、「青森工場のある田舎館村役場の1/350のプラモデルの製作にSpace-Eを活用しています」と話します。今後、「弘前城のジオラマ」を作る夢もあり、Space-Eの出番は増えそうです。

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田舎館村役場のプラモデルの金型(左)、田舎館村役場のSpace-Eで金型設計したプラモデル(中央)、田舎館村役場のプラモデル(右)
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「いちこ」(左)と「いち姫」(右)のフィギュア

また、田舎館村応援プロジェクトとして、青森県田舎館村とゆかりのある戦国時代の武将、津軽和徳城主、小山内讃岐の娘「千徳於市」こと、市姫をモチーフにした「いち姫」と、その現世の姿「いちこ」のキャラクターを誕生させるなど、ソルテック様は地域の活性化にひと役買っています。このような取り組みには、青森工場の設立時に田舎館村役場の方々の熱心な協力を得たことで、地域に密着した企業として貢献したいという想いが込められています。

NDES では、微細加工の技術に磨きをかけるソルテック様のものづくりをお手伝いするため、今後も最適なソリューションとサポートをご提供していきます。

会社プロフィール

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青森工場
本社 東京都墨田区東駒形2-16-10
青森工場 青森県南津軽郡田舎館村大字川部字上船橋46-2
設立 1989年6月
資本金 3000万円
事業内容 工業彫刻全般(精密刻印、金型彫刻 他)、金型部品・金型の製作

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