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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.84 お客様事例

挑戦する技術力とフットワークの軽さで
「金型のデパート」を目指す

岡山県に本拠を置くゼノー・テック株式会社様は、高精度・高品質の粉末冶金金型・冷間鍛造金型を主に製造している金型メーカーです。その中でも全国トップシェアを誇る粉末冶金金型の分野では、高度な技術力と豊富な経験によりお客さまから高い信頼を得ています。また、ゼノー・テック様では金型の設計・製作から試作まで一貫した体制を整え、お客さまからのさまざまなご相談について対応しています。こうしたビジネスモデルを支援する「Simufact.forming」と「Space-E」の活用や導入効果を伺いました。

多様な金型に対応する
「金型のデパート」を目指す

ゼノー・テック株式会社 技術開発部 開発グループ リーダー 河野 正宏 様
ゼノー・テック株式会社
技術開発部
開発グループ
リーダー
河野 正宏 様

ゼノー・テック様は、ゼノー工具様が粉末冶金金型の製造に着手するため、金型製造部門として1974年に発足したのが始まりです。その後、1991年にゼノー工具様から金型製造部門が分離し、独立した企業として現在に至ります。本社は岡山市に構えて、開発設計部門と製造部門は西大寺工場に置き、粉末冶金金型を中心として鍛造金型、精密プレス型などの設計から製造、試作まで一貫して対応しています。もう一つの備北工場は、ベルトコンベヤーに関連する製品を製造しています。

ゼノーグループとしては、国内に5カ所、海外に4カ所の製造拠点を置き、それぞれの特長を生かしながらグループを構成しています。

取材に伺った西大寺工場 技術開発部 開発グループ リーダーの河野正宏様はグループ間の連携について次のように話します。「受注した金型の種類や内容によってゼノーグループ各拠点の得意分野を生かし連携することで、客先要望に応えていこうというスタンスです。デパートが多彩な商品を扱うように、私たちも金型なら何でも扱える『金型のデパート』を目指しています」。

ゼノー・テック株式会社 技術開発部 開発グループ 主事 ヌワン カルナティラカ 様
ゼノー・テック株式会社
技術開発部
開発グループ
主事
ヌワン カルナティラカ 様

海外拠点は中国、マレーシア、インドネシアにあり、日本の自動車部品メーカー様の現地工場から受注し、金型を製作しています。技術開発部 開発グループ 主事のヌワン カルナティラカ様は「現地で受注した金型は、ほとんど現地で製作しています。技術面や設備面で海外拠点では製作が難しい一部の金型は日本で製作して海外に送ることもありますが、大部分は日本と同様の設備をそろえていますので、海外でも高精度・高品質の金型を製作できます」と話します。

また、ゼノー・テック様の社風について河野様は「当社は、町工場の雰囲気を残した風通しの良い会社です。やりたい仕事は、直接社長に提案することで実行することも可能です。それがたとえ成功率2割でリスクを伴う仕事であっても『やってみろ』と社長が後押ししてくれます。大変な仕事は多々ありますが、やりがいのある会社です」と語ります。このことから、お客さまの相談事に知恵を絞る社風がうかがえ、いろいろな課題を乗り越えて向上する技術力はゼノー・テック様の強みになっています。

ゼノーグループ
ゼノーグループ
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粉末冶金金型の例
粉末冶金金型の例
鍛造金型の例
鍛造金型の例

高精度・高品質の
粉末冶金金型に強み

(写真)
西大寺工場の様子

ゼノー・テック様の技術力の根底にあるのは、主力製品である粉末冶金金型です。主に自動車部品の中でも、オイルポンプ用部品やクラッチ用部品、ABS用部品、パワーステアリング用部品などを製造する粉末冶金金型は、非常に高い精度が要求されます。

「当社は粉末冶金金型の中でも、高精度で複雑な形状の金型作りを得意としています。長年数ミクロンの形状公差で金型を作り込んでいますので、ギアやクラッチなど複雑な形状においても高精度・高品質で作れることが強みです。当社は、この分野で国内トップシェアを獲得しています」(河野様)。

冷間鍛造金型への進出と
シミュレーションソフトの導入

新たに挑戦する金型分野として、ゼノー・テック様が選んだのは冷間鍛造金型です。「当社の主力である粉末冶金金型の市場は、金型種別全体でいうと数%のニッチな分野です。この限られた市場ではこれ以上の広がりがないため、従来とは異なる分野の金型に挑戦し、事業の拡大を目指そうと考えました。そこで、市場規模が大きい上、粉末冶金金型で培った技術を生かせると判断して冷間鍛造金型を選んだのです」(河野様)。

(写真)
開発グループの設計室

冷間鍛造金型の分野に進出したのは2002年に400トンの試作用プレス機を導入したことにさかのぼります。そして、2003年に鍛造金型および鍛造製品開発用に「MSC.SuperForge」を導入しています。その後、後継システムにあたるメタルフォーミングプロセスシミュレーションシステム「Simufact.forming」(以下Simufact)にリプレースし、冷間鍛造のシミュレーションを行っています。Simufactの導入と同時に、3次元CADシステム「Space-E/Modeler」と設計・製図支援システム「Space-E/Draw」を導入しています。CAEを利用するには3Dデータが必要になるため、Space-E/Modelerでモデリングをして、Space-E/Drawは設計に利用しています。

現在、製作している鍛造金型は、トランスミッション用部品やエンジン用部品など自動車部品や農業機械部品になります。

Simufactの役割について河野様は、次のように話します。「当社のビジネススタイルは、お客さまに鍛造工法や金型を提案し、受注する流れになっています。その金型の提案資料に解析結果を加えることで提案の説得力が増し、お客さまとの打ち合わせもスムーズに行えます。設計した成形工程のシミュレーション結果を提示することの意味は大きいと思います」。

さらに、解析結果の動画を交えて説明すればお客さまがイメージをつかみやすく理解が進み、特に海外のお客さまは動画を使った説明が有効だそうです。ゼノー・テック様では、技術開発部が営業の役割も担っており、お客さまの要望に応じた変更にも迅速に対応できる強みがあります。

Simufactによる解析例
Simufactによる解析例

正しく判断するために
解析結果をイメージする

鍛造金型の開発案件に活用しているSimufactの有効な事例があります。「さまざまな試作条件を考える中でSimufactを活用すれば、より最適な条件を選定できます。特に多軸プレスを用いるような複雑な試作では、各軸の速度やタイミングなどの条件が非常に多くなるため、シミュレーションが重要です。また、工程設計や金型設計時に面圧などの判断に迷った場合でもシミュレーションで確認することができます」(河野様)。

そのCAEの活用ポイントのアドバイスを伺いました。「Simufactでシミュレーションした解析結果はあくまでも理論値のため、実際にプレス機で試作品を打ったときに違いが出てきます。そこで、どの条件が違ってそういう結果になったのか、よく考えることが大切です。さらに、解析を行う前に自分なりに結果をイメージしておくことで、計算の途中であっても設定の間違いなどに早く気付くことができます」(河野様)。

最近、他社では若い技術者がCAEから入り、現場を知らないことが多いそうです。「CAEはあくまでシミュレーションのツールなので、実際は金型が壊れたりして成形がきでないようなものでも結果として形状が出てきてしまいます。CAEを使う上では、その答えを読み取って正しく判断できるかが重要なポイントになります。このように、解析結果を読み取るためには金型の製造現場での経験が重要です。経験しなければ分からないこともたくさんあります」(ヌワン様)。

シミュレーションが前提となる
金型の提案

近年、CAEの精度や機能が向上しており、ほぼ現実に近い解析が行えるようになっています。それとともにCAEの役割も変化しています。「以前はシミュレーションにより、試作する金型の点数を絞り込むなど、製品試作の期間短縮とコスト削減が主な狙いでした。それは今や当然のことであり、次はシミュレーションの中で成形工程や金型設計を確立させて、そこから金型を作るというように、お客さまの要求はさらに高くなっています」(河野様)。

こうした状況の中、入力する各種データは重要性を増しています。「応力分布や荷重、成形形状など入力する型の動作条件や素材データ、摩擦係数などによってシミュレーションの結果は異なります。正しいシミュレーションの解析結果を出すためには、正しいデータを入力することが重要です。そのため、さまざまな試験機を使ってテストを実施し、より最良な基礎データを蓄積するようにしています」(ヌワン様)。

このように、ゼノー・テック様は、実物の結果に100%近づける解析結果を得るために努力を重ねています。さらに、塑性加工の基礎成形の実機試験とシミュレーションを行い、その違いを確認してイメージの向上につなげています。

3Dプリンターへの関心と
今後の展開

今後、金型製作を展開していく上で、河野様は3Dプリンターに関心があると話します。「新規部品の場合、試作金型の製作スケジュールが短いこともあり、サンプルとして小ロットの部品製造に超短納期の金型を必要とするニーズもあります。このとき、金属3Dプリンターの金型製作にシミュレーションをどのように生かしていくか興味があります。将来、3Dプリンターに取り組む場合は、CAEへの取り組みや超精密な公差への対応、機械加工の有無などの調査は必要です」。

現在、ゼノー・テック様の事業割合は、粉末冶金金型と鍛造金型などで約7対3となっています。今後、鍛造金型分野の拡大に向けて、グループでの連携を積極的に行い、大手企業にはまねできないレスポンスの良さとフットワークの軽さを武器に事業拡大を狙います。また、その事業拡大に向けてインターンシップによる学生の受け入れを積極的に行い、人材採用や育成の取り組みを行っています。

最後にSimufactの有効活用のため、NDESに期待することをヌワン様に伺うと、次のような答えが返ってきました。「Simufactのバージョンアップ時に新機能を説明する講習会をNDESが開催いただければ、より効率的な使い方ができると思います」。

NDESでは今後とも、SimufactやSpace-Eなどの製品を通じ、ゼノー・テック様のビジネス拡大をお手伝いしてまいります。

会社プロフィール

ゼノー・テック株式会社
西大寺工場
本社 岡山県岡山市南区豊浜町12番8号
西大寺工場 岡山県岡山市東区西大寺川口291
創業 1974年6月
ゼノー工具株式会社の金型部門として発足
設立 1991年12月
資本金 2億円(2016年4月現在)
従業員 139名
売上高 20億8000万円(2015年12月期)
業務内容 粉末冶金金型、鍛造金型など

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