人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.87 | システム紹介
Manufacturing-Space® Version 4.0 新サービス開始
データ品質管理サービス「CADデータチェッカー」
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
カスタマー&サービス事業本部
クラウドサービス事業部 第一営業部
営業課 担当課長 服部 正太郎

はじめに

2017年9月19日、「Manufacturing-Space Version 4.0」のサービスを開始しましたのでご紹介します。Version 4.0では、株式会社エリジオン(以下、エリジオン)との協業により、「CADdoctor」のPDQ(Product Data Quality)検証および自動修復エンジンをクラウドサービスに搭載し、 3次元CADデータの品質チェックおよび不具合箇所の自動修復を行うデータ品質管理サービス「CADデータチェッカー」としてご提供を開始しました。

3次元CADシステムにおける
データ交換時の問題

図1 取引先とのデータ授受
図1 取引先とのデータ授受

金型設計の業務においては、取引先から製品形状の3次元CADデータを受け取り、自社の3次元CADシステムに取り込んで作業することになります。このとき、取引先とシステムが異なると、IGESやSTEPといった中間フォーマットを介して受け取ることがよくあります。そのとき、3次元形状の表現方法の違いによるさまざまな問題が発生することがあります(図1、図2)。

また、他部門や取引先に3次元CADデータを渡すときも同様の問題が発生する可能性があり、その問題を解決するのはデータを受け取った側の作業となります。しかも、金型設計に入る前に無駄な工数がかかることになります。

図2 データ変換によるトラブルの例
図2 データ変換によるトラブルの例

データ品質管理サービス
「CADデータチェッカー」

データ品質管理サービス「CADデータチェッカー」では、取引先から受け取った3次元CADデータをManufacturing-Spaceの「データコンシェルジュサービス」へ登録(アップロード)すると、3次元CADモデルの品質を自動チェックできます。データ品質は状態に合わせ、青・黄・赤のシグナルで視覚的に表示されます。そのうえ、必要であれば対象ファイルを指定して、不具合箇所を自動修正できます。これにより、お客さまは受け取った3次元データの品質の改善や、異なるシステム間で発生するデータ変換時のトラブルから解放され、作業効率を大幅に改善できます(図3、図4)。

図3 「CADデータチェッカー」操作画面
図3 「CADデータチェッカー」操作画面
図4 データ品質サービスを利用した場合の作業時間短縮例 class=
図4 データ品質サービスを利用した場合の作業時間短縮例

『CADdoctor』および『ASFALIS』の
エンジンを搭載

図5 エリジオンの3次元データ変換領域
図5 エリジオンの3次元データ変換領域
(クリックすると拡大画像が表示されます)

Version 4.0の「データ品質チェックサービス」は、エリジオンの技術的な協力により実現できました。データ品質チェックおよび自動修復については、エリジオンの「CADdoctor」および「ASFALIS」のエンジンを搭載しています。

エリジオンは、独自の3次元データ処理技術によるパッケージソフト開発・販売に加え、形状処理技術を生かした顧客ごとの専用システム開発を行っています。製造業を中心としたソリューションの提供の他に、近年は3Dレーザースキャナーで計測した膨大な点群データの処理ソフトを開発し、顧客層は土木・建築・プラントメンテナンスなどに広がっています。

エリジオンの役割と3次元データの変換に関する考え方は以下の通りです。

  • エンジニアリングプロセスの効率化のためには、上流工程から下流工程まで、一気通貫で3次元データを活用することが不可欠
  • そうした中で、現在主要なものだけでも約10種類のCADソフトが普及し、さらに3次元データに関するファイル形式も多数存在。企業にとっては効率的なデータ活用が難しい課題の一つとなっている
  • エリジオンは、これら種類の異なるデータを最適化することで3次元データに関わるさまざまな課題を解決するソリューションを提供する(図5)
株式会社エリジオン
ルノー・スポールF1 チーム
(エリジオンロゴ)

株式会社エリジオン(Elysium Co. Ltd.)

* 語意はギリシャ語で「至上の幸福、理想郷」

【本社】

 〒430-0927 静岡県浜松市中区旭町11-1
 プレスタワー(受付:10F)

【URL】

http://www.elysium.co.jp/(外部サイトへ移動します)

【設立】

 1999年11月1日

【資本金】

 3000万円

【役員構成】

 代表取締役会長 CEO 小寺 敏正

 代表取締役社長 COO 矢野 裕司

 取締役 CTO 相馬 淳人

【実績/主要な取引先】

  • グローバルで3000社以上に技術提供
  • トヨタ、日産、キヤノンをはじめ、年間連結売上高1兆円以上の国内製造業者はすべてエリジオン技術を採用
  • 欧米ではNASA、ボーイング、ダイムラーなどに技術提供
  • モータースポーツ界およびものづくりの最高峰といわれるF1に参戦するルノー・スポールF1チーム テクニカルパートナーに

【事業内容/技術領域】

  • 独自の3次元データ処理技術によるパッケージソフト開発・販売
  • 形状処理技術を生かした顧客別の専用システム開発
  • 3Dレーザースキャナーで計測した膨大な点群データの処理ソフトを開発し、顧客層は土木・建築・プラントメンテナンスなどにも拡張

今後について

今後も引き続き、エリジオンとの協業を深め、サービスの強化および新サービスの追加を行う予定です。Manufacturing-Spaceではエリジオンが「CADdoctor」および「ASFALIS」で提供されている形状比較、簡略化、成形性検証などの機能をクラウド上で実現し、サービスとして提供する予定です。その機能を以下にご紹介します。

(1)形状簡略化

図6 形状簡略化機能によるフィレットや穴の削除
図6 形状簡略化機能によるフィレットや穴の削除

緻密に設計されたCADデータは高品質な製品・部品の製造には欠かせません。ただし、データを用いたシミュレーションを行う際には、その複雑な形状ゆえに解析に膨大な時間を要する場合が多くあります。そうした場合には、シミュレーションに影響を与えない形状(フィーチャー)を削除し、シンプルな形状に修正することで、データ自体の容量が軽減され、解析にかかる負荷が低減されます。

金型を設計する際、テーパーをつけるために一旦CADデータから一部のフィレットを除去し、その後再度フィレットを作成するといった工程を踏むことがあります。そうした煩雑な作業が必要な場合にも形状簡略化機能は有効性を発揮します。

エリジオンの形状簡略化機能の特長は、CADデータに履歴がない場合でも、形状からフィーチャーを認識し、削除する点にあります(図6)。

(2)CADデータ比較

図7 比較結果の例1
図7 比較結果の例1

製造プロセスにおいて、いかに設計変更を素早く、ていねいに後工程に伝達するか、また後工程からすれば、いかに設計変更の情報を迅速かつ正確に把握するかは恒常的な課題です。この問題に対するソリューションの一つが、エリジオンの形状比較機能です。

フェースやエッジの形状、位置の差異を色分け表示します。また、フィレットのR値や穴の半径など数値化できる差異についてはその値が表示されるため、正確に変更内容を把握することが可能です(図7、8)。

図8 比較結果の例2
図8 比較結果の例2

おわりに

前号(人とシステムNo.86)でManufacturing-Space が目指す方向とロードマップをご紹介しました。その実現に向けて、お客さまの業務をクラウド上で効率的に実行できるよう、データコンシェルジュ上の3次元データに対してさまざまなサービスを展開していく予定です。今後も付加価値の高いものづくりを支援していきますので、ご期待ください。

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