人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.12 | システム紹介
Space-Eのご紹介
システム事業統括本部 副本部長 川下 英二

はじめに

このたび、Windows/NTで稼動する、を発表いたしました。
詳細は後に述べますが、このはソリッドとサーフェイスの機能を併せ持つハイブリッド・モデラーと、インテリジェントな3次元CAMで構成されたものです。弊社は従来からUNIXベースのシステム「GRADE/CUBE」、「GRADE/CUBEⅡ」シリーズをご提供してまいりました。

昨今、ダウン・サイジングの要求はますます強くなり、またWindows環境の普及も目覚しいものがあります。UNIXで自社のエンジニアリング環境を構築されているお客様にとって、Windowsでまったく同じ環境を再現することは現在のところ不可能ですが、Windows環境のメリットは確かに無視できないものがあります。

」はこのWindows環境の利点をお客様にも享受していただくべく開発いたしました。当分の間は、UNIXとWindowsの適材適所的な併用環境が主流になっていくものと思います。
また、「」は製造指向を正面にすえています、最近業界を賑わしている設計指向のミッド・レンジCADに対してのアンチテーゼといえます。
限られた紙面ですが、「」のコンセプト、ならびに機能のご紹介をいたします。

ロゴの特徴

<金型モデリングにフォーカスした、ハイブリッド・モデラー>

自動車や家電の大手メーカが3次元データをもとに、設計製造の効率化を推進している中、金型製造業においては3次元金型形状(キャビ・コア部)をいかに正確に速くモデリングするかが、今まで以上に重要になってきます。金型形状のモデリングでは設計段階で表現されない製品の最終形状を、細部まで忠実に表現、また設計変更にタイムリーに対応する必要があるため、柔軟なモデリング能力が重要になります。

はこのような要求を満足させるために、設計指向のモデラーとは異なり、パラメトリックやフィーチャーの拘束に制限を受けることなく、自由にモデリングできるソリッド・モデリングと、GRADEで培われたサーフェイス・モデリング機能を統合したハイブリッド・モデリング環境をご提供します。

<簡単操作のインテリジェントCAM>

熟練作業者の不足に備えて、簡単な操作性と各社ごとのノウハウを蓄積できる、インテリジェントCAMを構築できる環境をご提供いたします。
高速・高精度・高能率加工を実現する、等高線加工・走査線加工・面沿い・未仕上がり部最適化加工・隅残り部加工・ペンシル加工、また荒取りで効果を発揮するなど、3次元加工のすべての機能をサポートします。

商品構成

  • /Modeler
    豊富で柔軟なサーフェイス機能と、先進のソリッドカーネル"ACIS"を採用したソリッド・モデリング機能を融合させたハイ ブリッド型です。特に金型モデリング機能が充実しています。
  • /CAM
    加工定義が簡単にできる加工工程設計機能の上にGRADEシリーズで定評のある各種3次元加工機能を搭載しています。製品としては/Modelerとバンドルしてご提供します。
  • /IGES
    業界標準のIGES及び、JAMA-ISに対応しています。
  • /STL
    RP、解析システムで使用するSTLデータを出力します。

/Modeler

ソリッド・モデリング技術は、簡易な操作で自動的に形状を作っていくことが可能になるので、モデリングの効率化を実現するためには大変有効な手段になります。ただし金型のキャビコア形状での利用を考えるとソリッド・モデリングだけの表現能力では十分とはいえません。
/Modelerでは、ぼかし面や隣接面とのマッチングなど、20種類以上のサーフェイス作成・編集コマンドを用意し、金型形状の細部までの作り込みを容易にしています。ソリッドとの混在モデリングにより、より柔軟なモデリング環境をご提供します。

  • 詳細フィレット機能
    金型のキャビコアのモデリングでは、フィレット作業の工数全体に占める割合がもっとも大きく、これが全体の7~8割に及ぶことも少なくありません。
    このため/Modelerでは、位相を越えたり、稜線に乗り移るフィレット、あるいはフィレットの集まる箇所へのぼかし面挿入など、フィレットのための細やかな作業性と高い安定性を実現しています。
  • 金型用モデリング機能
    金型モデリングでは、製品設計には無い局所変形機能が非常に重要になります。/Modelerの各種抜き勾配付け、薄肉化、収縮、反り変形、オフセット、さらにボス・リブ作成機能などは金型特有の形状モデリングを効率的に支援します。
  • 加工性チェック機能
    加工技術の発展や、工作機械の改良を背景にしてCAMの自動化が進んでいますが、この前提としてCAD上で作成された金型モデルを、自社の工作機械やツーリングではどのような加工が最適であるかを、あらかじめチェックしておくことが重要です。/Modelerでは勾配角度(アンダーカット)チェック機能、最小凹Rチェック機能、面張り忘れチェック機能、折れ部チェック機能などにより、確実なモデルチェックが容易にできるだけでなく、加工工程の検討にも有効な情報をご提供します。
  • ユーザ・カスタマイズ
    FDLI(Feature Design Language Interpreter)はプログラミングをほとんど必要としないカスタマイズ機構です。FDLIにより一度行った操作手順を保存し、これを修正して新たなコマンドを作成したり、自社製品に現れる形状パターンをライブラリとして保存して再利用したりするといったカスタマイズが容易にできます。
    もちろん、C言語に似た構文の記述も可能で、FDLI用に公開されている豊富な内部関数を組合わせることで、より高度なカスタマイズも可能になります。

/CAM

  • 簡易な操作による加工工程の登録
    /CAMでは、従来非常に手間のかかっていた「経路計算の準備作業(機能ごとにコマンドを選択し、パラメータを設定し、実行していく手続き)」を「加工工程の登録」という操作に統一しました。
    GUIをベースにしていますので、非常に簡単で、見たままの操作環境を実現しています。
  • 加工法、工具、条件、手順の保存・活用
    /CAMでは、加工工程設定時に利用した「加工条件」「工具情報」などのデータはもちろん、「加工手順」そのものも保存することができますので、類似加工への適用や自社の標準データとして活用していくことが可能です。
  • 複数工程を一括処理
    /CAMでは、加工順序を意識した複数の工程を「作業(プロジェクト)」と呼び、この単位で一括処理することができます。また、一括処理には経路計算だけではなく、NCデータの作成まで含まれていますので、そのまま現場で使えるデータが簡単に作成できます。
  • 高速、高精度、高能率加工を推進
    /CAMでは、HZSが長年培ってきた加工機能を豊富に取り揃えています。等高線をベースにした高速加工機能はもちろん、トロコイド、突き加工といった高能率加工や、NURBS補間NCといった最新加工技術にも対応しています。
  • 加工データの自動化・標準化を支援
    /CAMを使用して各種データを蓄積していくことにより、加工手順を標準化していくことができます。これにより、初心者でも熟練者のノウハウを活かすことが可能となりました。
    また/CAMは、加工機能単位の自動化(自動削り残し加工、自動未仕上がり処理など)だけでなく、それらを一括して処理する仕組み、さらにはユーザ保有の標準データベースと連動できる「自動加工システム」を目指すシステムです。

/IGES

  • インターオペラビリティー(流通データとの親和性)
    金型製造は上流の設計データをもとに行うために、設計など上流で利用されるシステムとのデータ交換は、モデリング同様とても大切な機能になります。
    では、3次元データを受け渡す標準フォーマットとして最も広く利用されているIGES(JAMA-IS)とのデータ交換を行なうIGESトランスレータや、ラピッド・プロトタイピングシステム、解析システムなどの入力データとして利用されているSTLデータとの変換機能をご提供します。(オプション)

また、今後も次世代の製品モデルの国際規格であるSTEPとのデータ交換を行うSTEPトランスレータや、各システムとのダイレクトトランスレータなど、流通データとの親和性を高めるインターフェイスをご提供する予定です。

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