人とシステム

季刊誌
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No.57 | システム紹介
導入支援レポート(第4回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(1)
PLM事業本部 営業企画部 営業企画部
導入支援グループ
橋口 淳一

はじめに

前回までは、CATIA V5での3次元金型設計の運用やカスタマイズについて連載してきましたが、今回からは、Space-Eによる3次元金型設計の運用について、連載を始めます。

Space-Eで金型の構造設計を行う場合は、Space-E/Moldを用いることで実現できます。金型の構造設計を行う機能の他に、設計に必要なパラメータや拘束を付加する機能があります。
ここでは、Space-E/Moldのユーザ部品の運用についてご紹介します。

ユーザ部品の使い分け

図1 スライドユニットの使い分け
図1 スライドユニットの使い分け
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

Space-E/Moldでは、ユーザ部品というパラメトリック部品を構築できます。ユーザ部品を使うことで、金型設計の効率は大幅に向上します。

ただし、ユーザ部品を作成するかどうかは、十分に検討する必要があります。
ユーザ部品は、お客様自身で作成する部品のため、自社用として使いやすく効果は期待できますが、作成工数はかかります。
無駄に多くの部品を作成することは、お勧めできません。

表1は、Space-Eで3次元設計を始めるプロジェクトの際に、方針を大まかに分類したものです。
製品ごとにその方針を決定する必要があり、「新規設計」と「流用設計」を分類することが重要です。

表1 ユーザ部品の使い分け(例)
  新規設計 流用設計 備考
モールドベース ユーザ部品テンプレート ユーザ部品テンプレート 設計の際の試行錯誤、設計変更に対応するためユーザ部品を作成する。
スライドユニット ユーザ部品テンプレート ユーザ部品テンプレート 設計のプロセスを標準化し、効率を上げるためユーザ部品を作成する。
水管 コマンド コマンド –
エジェクタピン コマンド コマンド –
その他部品1 Catalog Window Catalog Window –
その他部品2 Catalog Window ユーザ部品テンプレート モールドベースのテンプレートに組み込めるものは組み込んでいく。工数削減を狙う。
図面 新規作成 ユーザ部品テンプレート 自動更新により工数削減を狙う。

ユーザ部品の構築

ユーザ部品の構築は、まず単品部品の構築から始めます。
しかし、単品部品だけでは、設計工数がかかるため、3次元設計を成功させる一つの方法として、部品をユニット化する方法があります。
より効率性を向上させるために、金型全体をテンプレート化することもできます。
ただし、ユニットを組み合わせたテンプレートは、大きな効果が期待できる場合もありますが、汎用性が低下して運用が難しくなる場合もあります。

試行錯誤が必要である部品は、設計手順をテンプレートの中に盛り込むことで、3次元設計の効果がより期待できます。
パラメータを利用することで設計時間の削減や設計の品質確保へとつながります。

テンプレート部品の展開

3次元設計へ移行する際に、すべてのテンプレートを準備することは、現実的に不可能です。
そのため、実運用をしながら流用部品を増やしていくことが、理想的なテンプレート設計になります。

ユニット部品も同様に、ユニットの構成部品を増やしながら運用ができれば、汎用性が高いユニット部品を構築できます。

スライドユニット テンプレートの仕様

図2 設計の仕様(スライドユニット)
図2 設計の仕様(スライドユニット)
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

外スライドの設計は、製品部に近いところから全体のバランスをみて大まかな設計を行い、詳細部を仕上げていきます。
ユーザ部品としてスライドユニットを作成するために、スライド設計の手順を整理しました。スライド設計の方法は、製品や設計者によって違うため、その一例をご紹介します。

  1. PLの位置を基準とし、スライド本体の高さを決定します。
  2. スライドの長さを製品形状部の近くから順番に決定します。
  3. 詳細部の寸法を決定します。

簡単ですが、以上がスライドユニットの仕様になります。

スライドユニット テンプレートの作成

図3 ユーザ部品の手順(スライドユニット)
図3 ユーザ部品の手順
(スライドユニット)
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ユニット部品の全体的なスライドの設計は、上記の例で定義したパラメータを利用して、ユニット部品を構築します。
詳細部品の構築方法は、主に2つあります。

1つは、設計者が必要なパラメータを後から変更できるようにパラメータを連動させずに構築する方法です。
ガイドレールは、おも型の長さを参考にするので、後で長さを編集できるほうが使い勝手がよくなります。

もう1つは、全体のパラメータに寸法を連動させるように構築する方法です。

図4 ユーザ部品の設計手順
図4 ユーザ部品の設計手順
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ガイドレールを締め付ける六角穴付きボルトは、ボルト径とプレート高さが決まると自動的にサイズが決まるため、設計者の作業を軽減できます。
作成した部品は、ユニット部品としてカタログに登録すると、ドラッグ&ドロップで部品を配置できます。

配置後は、ビューを側面にして設計を行います。
パラメータを利用すると設計検討しやすく、わかりやすい仕組みになります。
部品は、拘束の機能やパラメータにリンクしているので、1つのパラメータを変更することで他の部品が追従します。

部品の編集は、部品編集コマンドで行うことができます。すべてのパラメータを連動させないことで、汎用性のあるユニット部品になります。

おわりに

ここ数年、金型設計をメインとした業務に携わりながら感じることは、3次元金型設計を実現し、効果を出されているお客様は、さまざまな創意工夫をされているということです。

導入支援グループとしても、絶えず新しいアイデアを考え、システム構築の分野でお客様に貢献できるように精進していきます。
Space-E/Moldで金型設計をご検討いただけるお客様は、ぜひNDES担当営業にご連絡ください。