人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.64 | システム紹介
導入支援レポート(第11回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(2)
製造ソリューション統括部
製造ソリューション部
コンサルティンググループ
橋口 淳一

はじめに

前号(No.63)に引き続きSpace-E/Moldにおけるカスタマイズ手法についてご紹介します。3次元金型設計では、通常の機能を使用するだけでなく、システムをカスタマイズすることで運用の効果をさらに向上できます。

今回は、Visual Basic for Applications(以下、VBA)とFDLI(Space-Eのカスタマイズ言語)を活用した金型設計における効率化の手法についてご紹介します。

3次元設計における生産性の向上

3次元設計の生産性を考えた場合、「設計内における生産性」と「設計外における生産性」の2つに分けることができます。

まず、3次元金型設計を実現するためには、「設計内における生産性」を向上させる必要があります。その方法は2つあります。1つは、メリットをより向上させることです。3次元金型設計の実現によるメリットは、「流用設計に強い」「試行錯誤がしやすい」などがあります。

図1 VBAとFDLIを使用したカスタマイズ
図1 VBAとFDLIを使用したカスタマイズ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

もう1つは、その反対でデメリットを削減することです。デメリットは、「モデリングに時間がかかる」「操作が煩雑である」などがあります。このようにメリットを向上させて、デメリットを削減させるためには、お客様ごとにシステムのカスタマイズが必要になります。

図1は、Space-Eでカスタマイズした構築イメージを示しています。

VBAでGUI(Graphical User Interface)やデータベースを作成すると、設計ノウハウや設計手順をパラメータ化できます。FDLIは、3次元データから情報を取得したり、Microsoft Excel(以下Excel)で設計したパラメータで部品を作成したりすることができます。そのカスタマイズは、各種金型で対応することができます。樹脂金型だけでなく、ダイカストやプレス金型にも対応しています。

Space-E Ver.5.1の機能

Space-E/Mold Ver.5.1では、VBAを使った部品配置ができるようになりました。また、予約語も利用できます。この予約語で、部品配置の際にパラメータのリンクや拘束を自動作成できます。これにより、3次元金型設計におけるモデリングの手間を大幅に削減できます。

表1に、各機能における部品配置のメリットとデメリットをまとめています。目的に応じて各機能の使い分けを行ってください。

表1 各機能における部品配置のメリットとデメリット
種類 メリット デメリット
ユーザ部品 部品を作成する工数が少ない。 部品を1つ1つ配置をする必要があるため、設計工数が多くなってしまう。
ユニット部品
  1. 部品の配置では、同時に関連する複数部品を配置できる。
  2. パラメータを1 つ変更するだけで、複数の部品のパラメータを変更できる。
  3. ノウハウを利用することで、設計の工数を削減できる。
  1. 汎用性が低くなる。
  2. 拘束を作成したり、ナレッジを盛り込むのに時間がかかる。
コマンドからの
部品配置
  1. 部品を作成する工数が少ない。
  2. 自動的に長さの調整などができるため、設計の工数を削減できる。(設計支援機能)
使用できる部品のタイプが限定される。
Excelからの部品配置 自動的に部品を配置したり、試行錯誤するパラメータを利用できるため、設計の工数が少ない。 ユニット部品のノウハウに加え、プログラムを作成する必要があるため、データの作成に時間が相当かかる。

カスタマイズ例(VBAを使用した穴演算)

図2 VBAによる部品穴の活動化、非活動化
図2 VBAによる部品穴の活動化、非活動化

Space-E Ver.5.1では、VBAを使用してSpace-Eを動作させたとき、穴演算ができる機能を追加しています。これにより、配置した部品の穴をあけることができるので、穴のあけ忘れのミスも防止できます。(図2)

さらに、VBAを使用して一括でブーリアン演算することで、手作業を削減することができます。

カスタマイズ例(部品配置のExcel VBAを用いた動的シミュレーション)

図3 VBAとFDLIを使用した部品配置図
図3 VBAとFDLIを使用した部品配置

動的シミュレーションを行うときの問題点は、動作をさせる部品間のルール(パラメータのリンクや拘束)の作成に手間がかかることでした。Space-E/Moldでは、予約語を使用することで、その問題点を解決できます。

図3は、トランスファーのフィンガー機構です。VBAとFDLIを使用して、フィンガー機構の配置点とフィンガーの基準点をクリックすると、部品を自動配置できます。自動で幅や長さを変更するときには、サイズ決定の優先順位を決めることが設計ノウハウとして重要になります。

図4 VBAとFDLIを使用した部品配置
図4 VBAとFDLIを使用した部品配置

図4は、予約語を利用したガイドピンユニットの部品配置です。

ガイドピンユニットモデルには、拘束展開を組み込んでいます。この拘束展開により、パンチプレート側にガイドブシュが拘束され、ダイプレート側にガイドピンが拘束されます。

図5 パラメータによる金型の開閉
図5 パラメータによる金型の開閉

プレートと部品が拘束されているので、金型が開くとダイ側のプレートにガイドピンも追従して動きます。(図5)

図6 動的シミュレーションによる金型の開閉
図6 動的シミュレーションによる金型の開閉
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

図6は、Space-E/Moldの動的シミュレーションを利用した金型の機構解析です。VBAを使って配置した部品に予約語を構築できるため、手間をかけずに動的シミュレーションができます。

Space-E/Moldでは、Ver.5.1から複数のパラメータの設定ができます。また、シミュレーションの再生コマンドが追加され、再生速度の調整もできます。

これにより「部品設計」⇒「干渉チェック」⇒「再検討」……といった設計サイクルをスムーズにできるようになりました。

おわりに

コンサルティンググループでは、システムのカスタマイズや各種金型部品の作成、システム導入の立ち上げなどのお手伝いをさせていただいています。

特にシステム導入の立ち上げでは、お客様とともにコンサルティンググループが一丸となりプロジェクトに取り組んでいきます。今後ともよろしくお願いいたします。

関連するソリューション

関連するソリューションの記事

2020年04月01日
Manufacturing-Space® Version 4.5
新機能のご紹介
2020年04月01日
大連永華技術有限公司と中国における代理店契約締結
-日軟信息科技(上海)有限公司の閉鎖について-
2019年10月01日
Manufacturing-Space® Version 4.4
サービスインのお知らせ
2019年07月01日
Space-E Version 5.8リリースのお知らせ
~自動化に向けて進化する~
2019年06月26日
金型設計・製造業界向けCAD/CAMシステム「Space-E」
最新Version 5.8をリリース
2019年04月01日
Space-E
マルチスレッド技術による
特殊隅取りモーフィングモードの高速化
2019年01月01日
CAD/CAMシステムオンラインサポートサイト
e-support リニューアル公開のお知らせ
2018年10月01日
Space-E Version 5.7リリースのお知らせ
~5軸加工機能の強化と特殊隅取りの改善~
2018年10月01日
金型設計・製造業界向けCAD/CAMシステム「Space-E」
最新Version 5.7をリリース
2018年10月01日
ものづくり業界向けクラウドサービス
「Manufacturing-Space®
最新Version 4.2をサービスイン
2018年04月01日
沖縄マニファクチャリングラボの取り組み
5軸加工機能の強化および実用化に向けて
2018年04月01日
NTTDATA (Thailand) co., ltd. 活動報告
2017年04月01日
Space-E Ver.5.6リリースのお知らせ
~沖縄マニファクチャリングラボの研究成果を反映~
2017年01月01日
5軸加工への取り組み
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
2016年07月01日
第1回 名古屋 設計・製造ソリューション展
出展報告
2016年04月01日
Space-E Version 5.5リリースのお知らせ
~生産準備業務の効率化を目指す~
2016年02月22日
ものづくり業界向け「オートサーフェス」サービスを提供開始
2016年01月01日
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
2015年10月01日
Manufacturing-Space® Version 3.0サービスインのお知らせ
統合型クラウドファイル管理サービス
「データコンシェルジュサービス」の開始
2015年07月01日
Space-E Version 5.4 リリースのお知らせ
~まずは削ることから刷新~
2015年07月01日
トータルソリューションのご提案(4)
PDMを活用した鍛造解析向けトータルソリューション
2015年04月01日
トータルソリューションのご提案(3)
NDESがご提案するトータルソリューションとは
2015年01月01日
マニファクチャリングラボ(沖縄)の取り組みについて
2014年10月01日
Manufacturing-Space® Version 2.0リリース
~あらゆるデータをいつでもどこでも、もっと自由に!~
2014年10月01日
トータルソリューションのご提案(1)
STLの活用例
2014年10月01日
CAXA社との協業について
2014年07月01日
Space-E Version 5.3 リリースのお知らせ
2014年01月14日
クラウドサービス「Manufacturing-Space®
PDMサービスの「Web」と「iPad」閲覧機能の拡充
2014年01月01日
Manufacturing-Space® Version 1.5リリース
~あらゆるデータをいつでもどこでも、もっと自由に!~
2013年10月25日
金型業界初のクラウドサービス
Manufacturing-Space®の提供を開始
~あらゆるデータをいつでもどこでも、もっと自由に!~
2013年09月25日
金型業界初のクラウドサービス「Manufacturing-Space®
10月1日サービス開始
2013年07月10日
東南アジア地域における
Space-E販売代理店の支援強化について
2013年04月01日
安倍首相がオバマ大統領に贈ったパターは、
Space-Eをご利用いただいています
「有限会社 山田パター工房」様が製作したパターです
2013年02月25日
Space-E Version 5.2 をリリースしました。
新機能の詳細は、人とシステムの記事をご覧ください。
2011年10月01日
Space-E Version 5.1 新機能のご紹介
2011年10月01日
導入支援レポート(第10回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(1)
2011年10月01日
Space-Eで実現する
デジタルエンジニアリングにおける4つのCサイクル
2011年07月01日
導入支援レポート(第9回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(2)
2011年04月01日
Space-E Version 5.0 新機能のご紹介
2011年04月01日
導入支援レポート(第8回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(1)
2011年01月01日
5軸加工およびSpace-E/5Axisのメリット
2011年01月01日
導入支援レポート(第7回)
Space-Eによる3次元金型設計を中心としたシステム構築
2010年10月01日
3次元CAD/CAM/CAE一体型システム
Space-E/Pressのご紹介
2010年10月01日
導入支援レポート(第6回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(3)
2010年07月01日
導入支援レポート(第5回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(2)
2010年04月01日
Space-E Version 4.9 新機能のご紹介
2010年04月01日
導入支援レポート(第4回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(1)
2010年01月01日
Space-Eの有効活用「電極設計の効率化」
2009年10月01日
Space-EとDr.工程との連携
設計部門から製造部門へ、情報伝達の正確性アップと時間短縮のご提案
2005年07月01日
Space-E最新バージョンのご紹介
2005年01月01日
Space-E Version 4.3のご紹介
2004年07月01日
Space-E Version 4.2 Modeler & CAMのご紹介
2004年04月01日
Space-E/Global Deformation Version 1.0のご紹介
2002年04月01日
Space-E Version 3.1のご紹介
2002年04月01日
Space-E/STEPのご紹介
2001年07月01日
Space-E最新バージョンのご紹介
2001年07月01日
Space-E/Mold Version 2.0のご紹介
2000年10月01日
Space-E/SolidCAMの紹介
2000年07月01日
Space-E/Moldのご紹介
2000年04月01日
Space-E Version 2.1 のご紹介
1999年10月01日
WindowsNT版 製図支援システム Space-E/Draw のご紹介
1999年07月01日
Space-E Version 2.0 最新機能紹介と今後の展望
1999年01月01日
Space-Eのご紹介