人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.59 | システム紹介
導入支援レポート(第6回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(3)
PLM 事業本部 営業統括部
営業企画部 導入支援グループ
橋口 淳一

はじめに

今回もSpace-E/Moldにおける運用方法についてご紹介します。3次元金型設計において、単品部品のモデルを作成するだけでは、その効果が十分に発揮できません。そのため、設計の効率化を図るには、ユニット部品を使った運用が必要になります。ただし、単品部品に比べるとユニット部品の構築は容易ではありません。そこで今回は、スライドユニットを題材としたユニット部品の構築方法についてご紹介します。

ユニット部品作成の流れ

図1 スライドユニットのユニット部品作成
図1 スライドユニットのユニット部品作成
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ユニット部品を構築する際は、まず、ユーザ部品(単品部品)を作成します。ユーザ部品は、NDESから提供している部品を使用すると作業工数が大幅に削減できます。次に、部品と穴部品を組み合わせます。そして、拘束機能やパラメータの式でリンクを定義すると、部品と穴が連動するユーザ部品が完成します。

それから、ユニット部品を作成します。ユーザ部品と同様に拘束機能やパラメータの式、部品の活動化の条件を定義し、ユニット部品を作成します。最後に、ユニット部品の穴を作成して完成です。

ユーザ部品のパラメータ

図2 六角穴付きボルトのパラメータ決定
図2 六角穴付きボルトのパラメータ決定
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
図3 六角穴付きボルトのデータ構築
図3 六角穴付きボルトのデータ構築
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

図1のユーザ部品のパラメータにおいて、ガイドレールの六角穴付きボルトの場合、規格寸法だけではL寸法を設計者が計算する必要があります(図2)。一般的にL寸法は、配置するプレートや部品の高さとJIS規格による頭埋め込み量から算出されます。

Space-E/Moldでは、ボルトコマンドを使用することで、プレート高さを算出し、JIS規格における寸法を考慮して最適な長さのボルトを自動配置することができます。

そのため、ユーザ部品でも同等の運用ができる部品を作成できます。ユーザ部品のパラメータに、部品の規格寸法だけでなくプレート高さやJIS規格のパラメータ(穴のオフセット量など)を追加しておくと、六角穴付きボルトの場合、径と絞め付けるプレート高さから適切な部品が配置できます。(図3)

プレート高さからL寸法を算出するためには、ユーザ部品のデータベースを構築する必要があります。その方法は、プレート高さの範囲(range)で、L寸法を絞り込むというものです。具体的には、(前行のPH寸法の最大値)<( L(ボルト長さ)+ H(頭埋め込み量)- M(径)×1.5)をPH(プレート高さ)の範囲として、データベースを構築します。(図4)

図4 六角穴付きボルトのデータベース構築
図4 六角穴付きボルトのデータベース構築

Space-E/MoldVer.4.5から、Excelでデータベースを構築し、取り込むことができます。これにより、ユーザ部品構築の作成工数が大幅に削減できるようになりました。

ユニット部品のパラメータ

図5 スケルトン(ユーザ部品)とモデルデータの構造
図5 スケルトン(ユーザ部品)とモデルデータの構造
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ユニット部品に作成されるパラメータは、「単体の部品のみ、もしくは、複数の部品に影響する設計上重要な寸法」や「ユニットにおける設計計算式」、「ユニット部品で作成される穴寸法/規格」などがあげられますが、ユニット部品のパラメータをどこに作成するかを検討する必要があります。ユニット部品にパラメータを持たせる方法は、大きく3つあります。

  1. ユニット部品のパラメータ
  2. ユーザ部品のパラメータ
  3. スケルトン(ユーザ部品)のパラメータ

データベースを持つパラメータは、新規にスケルトン(ユーザ部品)を作成してパラメータを追加します。データベースを持たないパラメータは、ユニット部品のパラメータに追加することで効率的にユニット部品を作成することができます。(図5)

ユーザ部品の編集

ユーザ部品をユニット部品として組み込んで構築した場合、編集(修正)に制限があります。(表1)

表1 ユニット部品の構築後におけるユーザ部品の編集
ユーザ部品の変更内容制限
データベースの変更可能
(ユーザ部品の入れ替えをするだけで変更できる)
イメージファイルの差し替え
部品表への出力パラメータの変更
履歴ツリーのネーミングの変更
ユーザ部品パラメータの変更、追加不可能
(再作成後に再配置し、拘束とパラメータのリンクを作成しないと変更できない)

ユニット部品の構築では、試行錯誤を行いながら運用方法を検討していく必要があるため、すべての部品仕様を作成時に検討することは容易ではありません。しかし、構築後にユーザ部品のパラメータの変更や追加をすると作業工数がかかるため、仕様作成のときに十分検討し、パラメータの不足やネーミングのミスをしないように注意することが重要です。

ユニット部品の展開

図6 リフト量による移動確認
図6 リフト量による移動確認
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ユニット部品を流用するためには、ユニット部品に活動・非活動属性を付加します。そうすると、パラメータを変更するだけで、部品の有無や規格の違う部品に切り替えることができ、汎用性が高くなります。

また、ユニット部品のメリットは、設計ノウハウを盛り込み自動的に形状が変更される部品を作成できることです。例えば、スライドコアユニットでは、「アンギュラピンの長さの自動計算」、「逃がし穴の自動計算」「リフト量によるスライドの移動確認」などをユニット部品に盛り込むことができます。(図6)

このように、各部品を連動させるユニット部品に設計支援する仕組みを追加することで設計の効率化ができます。

おわりに

Space-E/Moldでは、ユーザ部品機能の強化によって金型設計のノウハウをユニット部品に構築できます。導入支援グループでは、今後もお客様の運用方法の構築におけるお手伝いをさせていただきたいと思っています。

関連するソリューション

関連するソリューションの記事

2020年04月01日
大連永華技術有限公司と中国における代理店契約締結
-日軟信息科技(上海)有限公司の閉鎖について-
2020年04月01日
Manufacturing-Space® Version 4.5
新機能のご紹介
2019年10月01日
Manufacturing-Space® Version 4.4
サービスインのお知らせ
2019年07月01日
Space-E Version 5.8リリースのお知らせ
~自動化に向けて進化する~
2019年06月26日
金型設計・製造業界向けCAD/CAMシステム「Space-E」
最新Version 5.8をリリース
2019年04月01日
Space-E
マルチスレッド技術による
特殊隅取りモーフィングモードの高速化
2019年01月01日
CAD/CAMシステムオンラインサポートサイト
e-support リニューアル公開のお知らせ
2018年10月01日
Space-E Version 5.7リリースのお知らせ
~5軸加工機能の強化と特殊隅取りの改善~
2018年10月01日
ものづくり業界向けクラウドサービス
「Manufacturing-Space®
最新Version 4.2をサービスイン
2018年10月01日
金型設計・製造業界向けCAD/CAMシステム「Space-E」
最新Version 5.7をリリース
2018年04月01日
NTTDATA (Thailand) co., ltd. 活動報告
2018年04月01日
沖縄マニファクチャリングラボの取り組み
5軸加工機能の強化および実用化に向けて
2017年04月01日
Space-E Ver.5.6リリースのお知らせ
~沖縄マニファクチャリングラボの研究成果を反映~
2017年01月01日
5軸加工への取り組み
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
2016年07月01日
第1回 名古屋 設計・製造ソリューション展
出展報告
2016年04月01日
Space-E Version 5.5リリースのお知らせ
~生産準備業務の効率化を目指す~
2016年02月22日
ものづくり業界向け「オートサーフェス」サービスを提供開始
2016年01月01日
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
2015年10月01日
Manufacturing-Space® Version 3.0サービスインのお知らせ
統合型クラウドファイル管理サービス
「データコンシェルジュサービス」の開始
2015年07月01日
トータルソリューションのご提案(4)
PDMを活用した鍛造解析向けトータルソリューション
2015年07月01日
Space-E Version 5.4 リリースのお知らせ
~まずは削ることから刷新~
2015年04月01日
トータルソリューションのご提案(3)
NDESがご提案するトータルソリューションとは
2015年01月01日
マニファクチャリングラボ(沖縄)の取り組みについて
2014年10月01日
CAXA社との協業について
2014年10月01日
トータルソリューションのご提案(1)
STLの活用例
2014年10月01日
Manufacturing-Space® Version 2.0リリース
~あらゆるデータをいつでもどこでも、もっと自由に!~
2014年07月01日
Space-E Version 5.3 リリースのお知らせ
2014年01月14日
クラウドサービス「Manufacturing-Space®
PDMサービスの「Web」と「iPad」閲覧機能の拡充
2014年01月01日
Manufacturing-Space® Version 1.5リリース
~あらゆるデータをいつでもどこでも、もっと自由に!~
2013年10月25日
金型業界初のクラウドサービス
Manufacturing-Space®の提供を開始
~あらゆるデータをいつでもどこでも、もっと自由に!~
2013年09月25日
金型業界初のクラウドサービス「Manufacturing-Space®
10月1日サービス開始
2013年07月10日
東南アジア地域における
Space-E販売代理店の支援強化について
2013年04月01日
安倍首相がオバマ大統領に贈ったパターは、
Space-Eをご利用いただいています
「有限会社 山田パター工房」様が製作したパターです
2013年02月25日
Space-E Version 5.2 をリリースしました。
新機能の詳細は、人とシステムの記事をご覧ください。
2012年01月01日
導入支援レポート(第11回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(2)
2011年10月01日
Space-E Version 5.1 新機能のご紹介
2011年10月01日
導入支援レポート(第10回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(1)
2011年10月01日
Space-Eで実現する
デジタルエンジニアリングにおける4つのCサイクル
2011年07月01日
導入支援レポート(第9回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(2)
2011年04月01日
Space-E Version 5.0 新機能のご紹介
2011年04月01日
導入支援レポート(第8回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(1)
2011年01月01日
5軸加工およびSpace-E/5Axisのメリット
2011年01月01日
導入支援レポート(第7回)
Space-Eによる3次元金型設計を中心としたシステム構築
2010年10月01日
3次元CAD/CAM/CAE一体型システム
Space-E/Pressのご紹介
2010年07月01日
導入支援レポート(第5回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(2)
2010年04月01日
Space-E Version 4.9 新機能のご紹介
2010年04月01日
導入支援レポート(第4回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(1)
2010年01月01日
Space-Eの有効活用「電極設計の効率化」
2009年10月01日
Space-EとDr.工程との連携
設計部門から製造部門へ、情報伝達の正確性アップと時間短縮のご提案
2005年07月01日
Space-E最新バージョンのご紹介
2005年01月01日
Space-E Version 4.3のご紹介
2004年07月01日
Space-E Version 4.2 Modeler & CAMのご紹介
2004年04月01日
Space-E/Global Deformation Version 1.0のご紹介
2002年04月01日
Space-E Version 3.1のご紹介
2002年04月01日
Space-E/STEPのご紹介
2001年07月01日
Space-E最新バージョンのご紹介
2001年07月01日
Space-E/Mold Version 2.0のご紹介
2000年10月01日
Space-E/SolidCAMの紹介
2000年07月01日
Space-E/Moldのご紹介
2000年04月01日
Space-E Version 2.1 のご紹介
1999年10月01日
WindowsNT版 製図支援システム Space-E/Draw のご紹介
1999年07月01日
Space-E Version 2.0 最新機能紹介と今後の展望
1999年01月01日
Space-Eのご紹介