人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.25 | お客様事例
Space-Eでのプレス金型設計

株式会社渋谷金型工業様は、自動車産業だけではなく幅広い分野でのプレス金型設計・製作に携わられ、納期・品質の面で高い評価・信頼を受けられいます。

常にお客様の多種多様なニーズに応えるべく、さらに高品質な製品開発を目指され、短納期、低コストを常に追求し、技術向上も図られています。

今回は、Space-Eを使ってのプレス金型設計・製作のお話を中心に、代表取締役 渋谷一弘様、NC主任 山本一幸様にお話をお伺いしました。

事業概要

人物写真
代表取締役
渋谷 一弘 様

当社のメイン事業は自動車関連部品の各種プレス金型設計・製作になります。

ステアリング、インテークマニホールドやエギゾースト周りになります。

当社は一切外注に頼っていません。

従業員全員がすべての工程を網羅していますので、少数精鋭の体制を取っています。

お客様から「どうしても」と仕事を依頼されることがありますが、規模的に小さいので飽和状態になります。

基本的な取引の約束事を守っていれば仕事の依頼が途切れることはないと思っています。

納期を守る、他社と差別化できる高品質のものを製作するという2点をしっかりと守っていれば必然的に仕事は入ってくると思っています。

さらに時代の流れに乗ることが大切だと思っています。型造りも日々進化をしているので常に多方面から情報を取り入れて新しい事にトライして方向性を定めていくことが今後へと繋がると思います。

Space-E導入の背景

■GRADEの導入

従来は倣い加工を行っていました。

木型のモデルを製作して石膏を作っていたので手間とコストがかかっていました。

木型が湿気を吸ってしまって、ズレてしまい、その通りに彫られてしまったものを2~3日間かけて擦り合わせるという作業をしていました。

当時の2次元CADでは等高線加工ぐらいしかできませんでしたので、曲面が変化していくような場合は対応できませんでした。

3次元化を検討し、1994年にGRADEを導入しました。

■導入の背景

Space-E画面
3次元モデル

ワークステーションの信頼性などもわかっていますが、時代の流れもあり、GRADEに固執するより、コスト的にもPC版に移行すべきだと考え、様々なCAD/CAMを比較検討していました。

CADとCAMを別システムとして導入するとサポートが別々になりますし、一方がバージョンアップしても、もう一方のバージョンアップがストップしてしまったりするので、分けて考えられないと思いました。また、これから伸びていきそうなCAD/CAMシステムを選んで自社も伸びていかないといけないと思っていました。

統合型のCAD/CAMシステムの中から選定しようと決めた時に、Space-Eが大幅にバージョンアップし、当社の仕様に合うものになっていました。

移行の検討の時期と重なりましたし、信頼できる会社でサポートの体制の良さもあり、Space-Eに決定し、2001年の5月頃に導入しました。

体制づくり

CAD室
CAD室

お客様から頂くデータは3次元データでサーフェイスやソリッド、様々なメーカのフォーマットで依頼されますが、Space-Eを使って多種多様な形式に対応できています。

頂くデータは、メールで送られてくる場合がほとんどですが、媒体でもZIPやMO、CDやDVDなどバラバラです。

今はCDが主流ですが、これから先DVDに移行していくと思いましたので早めにDVDの導入も行いました。

受け入れ体制がないとそれ以降仕事がこなくなってしまいますので、お客様より一歩先を行く努力をしています。

導入の効果

■演算処理の向上

Space-Eに移行して良かった最大の利点は、演算が早いことです。どのCADシステムにおいてもモデリングは人手で行うものです。

システムが理解できるように線を変えたりする手間と時間をかけないといけません。

その部分に関してはGRADEでもSpace-Eでもほとんど変わりませんが、演算処理はSpace-Eの方が圧倒的に速いです。

また、CAMも良くなっているので、演算処理の他に加工時間も何割か速くなりました。

以前はパス計算に失敗した場合などはかなりの時間をロスしていましたが、今では演算処理が速いので心置きなくトライでき、安心して使えます。

■ハイブリッドモデラーの利点

モデリングに関しては、ソリッドも使えるので非常に便利です。

決まりきった形状を使う場合はソリッド、曲面でどうしてもサーフェイスでないとできない箇所はサーフェイスなど混在していても意識せずに使用できるので非常に便利です。

ソリッドをうまく使うとかなり楽な部分があり、安定していて、意識しなくてもサーフェイスともみなしてくれますし、混在していても問題ないところが良いと思います。

■統合化

人物写真
NC主任 山本 一幸 様

以前はGRADE、2次元CAD、DNCと3つのシステムを同時に使っていましたので3つのマウスがありました。

実際にマウスを動かしてみないとどのシステムのマウスなのか分からない場合もありました。

今回の導入の際には、3次元の設計から2次元の型図作成までをSpace-Eで完結することを目標にしていました。

今では1つのマウスで作業できるようにSpace-E/Drawとトランスレータを積んでSpace-E/Modelerを使っています。

モデリング、NCデータの作成、さらに型図まで1台のPCでできてしまいます。

それが最大のねらいでもありました。

Space-Eでのプレス金型

■トラブルを見込んで

データを最初に見たときにある程度の予想を立て、具体的にSpace-Eで展開していきます。

品質については、設計段階でしっかりと煮詰めて金型の構造などをしっかりと決めないと後の工程でトラブルが起こりますので、極力問題を無くすような仕組みづくりをしています。

ここが非常に重要だと思います。

ですが、どうしても先が見えない、やってみなければわからない部分もあります。

そのような場合には、ある程度のトラブルを見込んで設計を行います。

金型に着手するにあたって、そういった部分を重視していますので手離れが良いのかもしれません。

■設計の流れ

読み込んだデータを元に製品を製作するための金型設計が始まります。

プレスなのでZ軸方向にしか打てません。

陰になると絞れないのでその方向を確定してそれをもとにひとつの金型として設計します。

データはソリッドで依頼されますが、実際の素材はただの鉄板です。

Space-E画面 Space-E画面
Space-E/Drawで作成した型図

製作した金型を無人で通っていくと製品ができる状態にしなければなりません。

どのような工程で曲げればベストなのか、トラブルを起こさないようにするにはどうすれば良いのかをSpace-Eで考えないといけません。

それが決まった後に今度は2次元で型図を作成して金型を製作します。

■いくつもの工程を経て

プラスチック金型などのように一度に形を作ることはできませんので、幾つもの工程を経て形状が徐々にできあがっていきます。

その工程をSpace-Eで決めていきます。

依頼されたデータは最終形状なのでそれを製作する前工程を作っていきます。形状によって違いますが、4工程の場合、6工程の場合などがあります。

それを展開しながらSpace-Eでいくつものモデルを作成していきます。

金型
製品写真
金型とその製品

金属を曲げるので変形(スプリングバック)したりすることがありますが、それも考慮しておかなければなりません。この板厚でこの角度で絞るとどのくらい戻ってしまうかなど、設計の段階で勘と経験で対処しています。

Space-E画面
絞りの検討

ですが、必ずしもそのとおりにはいきませんから、後でどうなるのかという所までを考え、万が一スプリングバックが予想範囲を超えた場合は、もう一度そのモデルを追い込まなければなりません。

工程が幾つもありますし、各工程でも割型になっていて、多い場合は1つの型で20~30ある場合もあります。

そのバランスをどう保っていくかをいつも試行錯誤しています。

■短納期に対応するために

自宅にもSpace-Eがあるくらいですから、HZSの人よりもSpace-Eと付き合っているかもしれません。

一度に5~6部品を同時に請け負っているときは削るものも何十個になります。

そういった状況の場合は突然アイデアが浮かぶことがありますので、忘れないように自宅でも作業できるようにしています。

短納期を迫られている今の状況ですのでそれぐらいドップリと漬からないと対応できません。

納期は形状や仕様によって違いますが1~2ヶ月ぐらいです。

HZSについて

他社と比較してもサポートやSEの派遣に関して非常に対応が速いと思います。

また、Space-Eフォーラムのようなエンドユーザとシステム開発者がダイレクトに話ができる場を提供して頂いているので非常に良いと思います。

これからもユーザの声が開発側に届く体制をとって頂けるとありがたいです。

ユーザ側からみれば、HZSでもグループ会社でも同じなのでもう少し一体化して欲しいです。

トータルで見て、良いからお付き合いさせて貰っていますが、ソフトに関しても、もっと良くなって欲しいと思います。

当社はSpace-Eに依存している部分が大きいので期待が大きいです。

おわりに

お話をお伺いし、プレス金型は他種の成型方法とは違い、いくつもの工程を経て製品ができあがっていくことがわかり大変勉強になりました。

また、取材中に「21世紀の職人の勲章はマウス蛸かもしれないですね」という言葉が印象的でした。

手に蛸ができるほどマウスを握りしめてSpace-Eを使って頂いていることは開発・営業にとっても大変励みになります。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

会社プロフィール

会社写真
会社全景

株式会社 渋谷金型工業

住所 東京都大田区西糀谷2-15-19
創業 昭和35年8月18日
年商 1億円
資本金 1,000万円
従業員 5名
事業内容 自動車関連部品(ステアリング関連部品、エンジン関連部品<インテークマニホールドなど>、エギゾーストノート関連部品)などの各種プレス金型設計・製作など
製品群 製品群 製品群 製品群
製品群

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