Space-E/CAMによる研究発表を
高知県立高知工業高等学校様は、明治45年3月(1912年)に竹内綱先生、竹内明太郎先生の父子により、「工業富国基」の信念に基づいて、工業技術者養成のため創立された高知県で最も伝統のある工業学校です。平成24年(2012年)に100周年を迎えるため、学校・PTA・同窓会が一体となった記念行事を計画しています。
今回は、CATIA V5を使った授業内容やSpace-E/CAMを導入して設計から加工までの実習環境を整えて、今後授業へ組み込まれるお話などをお伺いしました。
ワンランクアップの学校を目指して

全国工業高等学校長協会主催の平成21年度ジュニアマイスター顕彰制度で、本校は全国で7位になり優秀校として表彰されました。しかし、以前から上位にいたわけではありません。17年度までは30 位以下でしたので、これではいけないと一念発起して、職業資格や検定、モノづくりに対して全国にアピールできる取り組みを各学科で始めました。その結果、年々順位を上げることができ、昨年7位に入賞できました。生徒には、できるだけ多くの資格を取って、次へのステップにしてほしいと思っています。
本校は、進路においても非常に安定しています。昨年は全体的に求人が減りましたが、卒業する生徒248名に対して県内外から440社の求人があり、就職希望者は100%の内定率でした。また、進学については、工業高校でありながら進学率が高いという特長があり、国公立への進学者が35名となりました。これは、全国の工業高校でトップクラスの学校になります。

本校の生徒は粗削りですが、いろいろな指導方法でいくらでも伸びる可能性を持っていると強く感じています。
各科の先生が少しだけ指導に気を配るだけで、生徒の可能性を引き出して成長できることに先生方も驚いています。その取り組みのひとつとして、進学コース制を取っていることです。数学や理科の勉強をしながら、もの事を工学的に考える学校設定科目で、外部講師も招く予定です。
他には、朝8分の新聞タイムを年間120回ほど実施しています。これは、その時々のニュースを先生方が新聞から切り抜いて生徒に読んでもらう取り組みです。また、先生と生徒が、同じ目線で話し合いができる授業改善委員会を開いています。この話し合うことに意義があるのです。最終的に先生と生徒の信頼関係を築くことができれば、ワンランクアップできる学校になると思っています。
それから、本校は勉強だけではなく部活動の取り組みも積極的に行っています。現在、全校生徒の6割が体育系クラブ、2割が文化系クラブに入り、8割を超える生徒が放課後や土日に部活動をしています。
CATIA V5 は機械科の新しい流れに

教諭 藤岡 常幸 様
CATIA V5を導入して、今年で6年目になります。それまでは、汎用旋盤、フライス、マシニングが中心の実習でしたが、3次元CADの取り組みとしてCATIA V5は機械科の新しい流れとなりました。
本校は1年生から3次元を教えています。簡単な形状をスケッチしてモデリングしながらCATIA V5の基本を学びます。2年生からはCATIA V5の時間数も多くなり、マニュアル無しで図面から立体形状を想像してソリッドモデルを完成させます。課題を終えた生徒は、自分のペースで自習できるCATIA-Trainerで勉強して、進み方が早い生徒はかなりのレベルでCATIA V5を習得しています。3年生では、アセンブリでパーツを組み立てます。機械製図の教科書にあるギアボックスの図面から、上型と下型を作って軸受けで合わせて組み立てていきます。
このように、1~3年生の授業でCATIA V5の操作に慣れているので、3年生の課題研究では、どの班もCATIA V5を使って設計しています。
3次元CAM の取り組み
昨年、実際の製造現場に近い実習にするにはどうすべきか検討していました。そのとき、NDESのアドバイスを受けて、3次元CADの後にCAMでNCデータを作り、さらに加工するという流れを作りたいと考えて、Space-E/CAMを3月に導入しました。狙いとしては、企業の製造現場に対して、即戦力になる人材の輩出です。従来の工業高校のスキルより、さらに高いスキルを持った工業技術者の育成に取りかかろうとしています。
今年の後半には、設計の授業や実習にSpace-E/CAMを利用したいと考えています。実習としては、CADで図面を作成してモデリングした後に、CAMでNCデータを作成してマシニングで加工するという流れです。
工業高校の良さ
大学では3次元CAD/CAMを利用した授業は、当然ありますが、高校で3次元CAD/CAMを使う授業はあまり知られていないと思います。企業側からみると、工業高校卒業であれば製造ラインで、大学卒業であれば設計だという先入観があるようなので、そこは違うと言いたいのです。
工業高校卒は大学卒とは違う良さがあります。その良さの一番大きなポイントは、工業高校の生徒は機械を扱えるということです。大学では実践の時間が短く機械を操作することも少ないと思います。
例えば、溶接してみると本校の生徒の方が上手にできます。それは工業高校で、溶接や旋盤の実習が長時間あるからです。こういう基礎の上に3次元CAD/CAMの最先端技術を習得させたいと考えています。
創立100 周年記念行事に向けて

創立80周年製作
創立100周年記念行事では、体育祭、工業博、研究発表会を予定しています。この記念行事には本校OBと現役生徒が協力して取り組んでいきます。また、姉妹校である石川県立小松工業高等学校(小松工業)も研究発表に参加します。小松工業は、コマツ創業者である竹内明太郎先生が1939(昭和14)年に当時の小松製作所の寄付で設立された学校で、本校とは姉妹校として交流を深めています。
機械科では、この工業博に創立80周年のときに製作した焼き玉エンジンを動かすことをOBと計画しています。それから、Space-E/CAMを利用して3次元CAD/CAMのデータから加工まで一連の流れを研究発表する予定です。このような取り組みを通じて、高知工業高校の良さを広くアピールしたいと考えています。
おわりに
校長先生のお写真の背景には、竹内綱先生が掲げられた工業教育の理念である「工業富国基」の書がかけられています。この書は、大正2年に竹内綱先生自身により書かれた大変由緒ある書だそうです。
大変お忙しいところ、貴重な時間を割いてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
学校プロフィール

高知県立高知工業高等学校
URL http://www.kochinet.ed.jp/kochikogyo-h/
所在地 | 〒780-8010 高知市桟橋通2丁目11番6号 |
---|---|
設立 | 明治45年3月 |
学科 | 機械科、電気科、情報技術科、工業化学科、 土木科、建築科、総合デザイン科 |
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