金型構造の簡素化および製作の効率化を目指す
株式会社サワキ様は、高精度の金型を早く安く製作するために、あらゆる可能性を模索しながら最適な方法を考案している金型メーカーです。「日本の製造業としての誇りを持つこと。」「一手間を惜しまず自信の持てる製品を世に送り出す。」という理念に基づいて製作されている金型、成形品は、お客様から高い評価を受けています。
今回は、Space-EおよびTimon Mold Designerの導入背景とその効果や今後の展開、そしてNDESへのメッセージなどのお話をお伺いしています。
サワキの事業内容と特長
事業内容
当社は、プラスチック部品の金型の設計、製作および小ロットの成形を行っています。製作している金型は、インサート金型からアウトサート金型までプラスチック金型の全般にわたります。
当社の強みは、金型設計、製造、成形、検査までの一貫した体制を整えているところです。この強みを活かして、お客様にはプラスチック金型に関する企画およびご提案をさせていただいています。
現在は、自動車の部品関係が多くなっていますが、プラスチック部品の金型に係わることであれば、分野を問わずご対応いたします。
工場の設備は、マシニングセンター、形彫放電加工機、ワイヤー放電加工機、 NC旋盤、平面研削盤、汎用フライス、成形機などを備えています。
このマシンの台数は、従業員の人数よりも多く、各自が複数のマシンを使いこなしながら金型を製作しています。

クオリティの高い金型製作
当社は、金型の製作後には実際の成形機で部品を成形して検査を行っています。もし、検査で不具合が発生すれば設計にフィードバックして、お客様へ納品する前に修正しています。この検査では、成形条件まで考慮しているので、クオリティの高い金型を製作して納品することができます。
チームワークと技術向上への意識
当社は、従業員の全員が同じクオリティの金型を作ることができます。もちろん、それぞれの工程には責任を持っており、チームワークによる金型製作を行っています。さらに、小回りを利かせた柔軟な対応で、お客様からは、早い納期で精度も良いと信頼をいただいています。
常に、技術向上への意識は高く持っています。けれども、金型メーカーの技術として、特別なことを行っているとは思っていません。日ごろから「当社ができることは他社にもできる。」という認識で、現状に満足することなく、工夫して技術を磨くように心がけています。
Space-E導入と効果
Space-E導入の背景
2000年頃、お客様から複雑な3次元形状の依頼がありました。それは、当社がこれまで製作したことのない形状だったので、挑戦したいという思いがありました。ところが、その当時導入していた2次元CAD/CAMと3次元CAMでは製作が難しく行き詰まっていました。
それで、このとき3次元CADの必要性を強く感じたのです。それに、導入していた3次元CAMには、機能的な問題があったので、せっかく選定するならCAD/CAMが一体化したシステムが使いやすいと考えました。
ある展示会で、タイミング良くSpace-Eの詳しい機能説明を聞く機会がありました。もちろん、他のメーカーーのCAD/CAMも検討したのですが、この展示会がきっかけになり、Space-Eを導入することになりました。Space-Eを導入した要因は、システムの使いやすさとNDESのサポート体制です。Space-Eのメニューやアイコンなどは操作性に優れており、簡単に操作を覚えることができました。また、ソリッド、サーフェイスの両方が使えることも利点です。
他のCAD/CAMメーカーーは、販売には力を入れていましたがサポートには弱いところがありました。NDESは、システム販売だけでなく、技術スタッフによるサポートが充実していたのです。実際に、Space-E導入後は、NDES技術スタッフが一緒に立ち上げてくれたおかげで、早期に実務への利用ができました。当然、その後のNDES技術サポートにも満足しています。
Space-Eの効果
Space-Eを導入したことで、金型設計から NCデータ作成までを2次元から3次元に移行することができました。さらに、導入目的になっていた複雑で難しい3次元形状は、Space-Eを使って製作することができました。今思えば、この3次元形状の難易度が高く、それを最初に製作できたので、その後の3次元形状は問題なくスムーズに製作できています。
また、これまでSpace-Eで作成した NCデータには、大きな問題が発生したことはありません。金型の型設計では、プレート関係は2次元CADを利用していますが、キャビコアはSpace-Eを100%利用しています。
Timon Mold Designer導入と効果
Timon Mold Designer導入の背景
当社が流動解析システム導入の検討を始めたというのは、理由が 2つあります。
まず、ひとつ目の理由は、金型製作のトライ回数の削減です。
当然のことですがトライのサイクル数を削減できれば、効率良く金型製作ができます。それにより、低コスト、短納期も実現できます。
流動解析システムを導入すれば、金型の設計時に成形で起こりうる問題点を事前に検討できます。さらに、ランナー、ゲート、冷却などを最適化することで成形品の品質を向上できる金型が製作できます。
それから、ふたつ目の理由は複雑な構造の金型ではなく、シンプルな構造の金型を作りたいと考えていたからです。金型構造を簡素化することで、製作工程や日数が短縮できてメンテナンスも簡単にすることができます。
このような効果を期待して Timon Mold Designer(以下、TMD)を導入しました。TMDは、解析の専門知識がなくても設計者が樹脂流動解析を行うことができます。ゲート、ランナー、スプールの作成も簡単で、多数個取りやファミリーモールドにも対応しています。
Timon Mold Designerの効果
お客様は、納品した金型で成形の検査をされますが、当社でも検査を行っています。
お客様からデータをいただき、金型を製作していますが、不具合が発生することがあるため、成形の検査は重要だと考えています。
TMDでは、ウエルドライン、変形、充填不良、ヒケ、ガスなどの不良成形の予測を立てることができます。実際、これまで予測できなかった不良成形を見つけることができています。
また、TMDで不良成形を予測して、その対処法に基づいて手間をかけて金型を製作した方が、金型完成後に修正をするよりも作業の効率は向上しています。
それから、複雑な部品に対してですが、試作型の製作は、他の金型メーカーーで、量産型を当社に依頼される場合があります。そうなると、ゲート位置は試作型で既に決まっているため、いくらTMDで不具合を見つけても変更できなくなっていたので、お客様にそのことをご説明させていただきました。すると最近では、特に複雑で難しい形状は、試作型と量産型の両方を当社に依頼いただくことが増えてきました。これも、TMDを導入したメリットです。
今後の展開
トライ1回の金型製作
今後は、金型を 1回のトライで仕上げたいと考えています。最近、TMDの解析値と実際の結果が一致してくるようになりました。現在は、解析シミュレーションの精度向上を狙って、成形した検査結果とTMDの解析結果を蓄積している段階です。さまざまなケースを試すことで的確に不良成形の要因を予測して、設計段階で防止することが狙いです。
TMDは、次のバージョンでそりの予測が可能になったので期待しています。そり方が解析で予測できれば、それを見こして肉付けすることができます。もしも、設計で適切な肉付けができ、それが検査で問題なければ、さらに金型修正の手間が省けます。
解析結果でお客様へ提案
お客様も流動解析には興味を持たれているので、こちらからゲート位置やランナーのご提案をしたいと考えています。今後は、さらにいろいろな形状を試すことで経験を重ねていき、解析シミュレーションでお客様に信頼いただけるご提案を目標にしています。
Space-E、TMDを誰もが使えるように
Space-Eは、専任ではなく皆が使えるようにしていきたいと思っています。操作的にはSpace-EもTMDも簡単なので、コツをつかめばすぐに操作できます。これまでは、2次元的な考えだったので、それを3次元へと変えていけば早く使えるようになると思います。
NDESへ
Space-Eへの要望
Space-Eのサポートには満足していますが、できれば保守料をもう少し安価にしてもらいたいという希望はあります。
他には、2次元CAM機能の操作がもっと簡単にできればと思います。今の2次元CAM機能の操作は、3次元CAM機能と同じような操作なので、もっと簡略された手順になるようお願いします。
現在、2次元加工は、別の2次元CAMを使っているので、DXFからの加工がSpace-Eでもっと簡単にできれば、全ての CAD/CAMをSpace-Eに統一できます。
TMDへの要望
TMDで使用できる材料データが少ないと思います。もっと国内で使われている材料データの種類を増やしてください。実際、TMDには当社で使用している材料データがないため、近い材料で代用しています。しかし、やはり代用なので、正確な解析結果が得られているのか分からないため、どこに影響するのか不明です。今後のバージョンアップに期待しています。
おわりに
サワキ様の会社より、八ヶ岳を眺めることができます。取材にお伺いしたときは、曇りで寒空が広がっていましたが、天気が良い日の写真をお送りいただき、すがすがしい山々に囲まれたその環境がうらやましく思えました。
大変お忙しいところ、貴重な時間を割いてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
この度の取材は、エイチ・ゼット・エス長野株式会社代表取締役 太田満様にもご協力いただきました。
会社プロフィール


株式会社サワキ
URL http://sawaki-plastic-mold.jp/
(外部サイトへ移動します)
| 所在地 | 〒391-0013 長野県茅野市宮川4371-3 |
|---|---|
| 創立 | 1994年7月 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 事業内容 | 精密プラスチック金型設計・製作、プラスチック成形加工 |
