人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.112 | 社長インタビュー
融合する技術と知見で日本の製造業を支える
製造業DXインテグレーターとして連携を強化
製造業DXインテグレーターとして連携を強化

2025年1月17日に弊社と株式会社C&Gシステムズは、日本のモノづくりを牽引する製造業DXインテグレーター企業として一層の事業拡大を図るため、連携強化の契約を締結しました。弊社の製造ソリューション事業とクラウド事業は「株式会社NDES」として独立し、C&Gシステムズグループと各々で持っていた技術と知見を融合することで、未来の日本の製造業をより広く支えていきます。今回、株式会社C&Gシステムズ代表取締役社長の塩田聖一様をお迎えして、これから一丸となって製造業を支える両社の未来について対談を行いました。

日本のCAD/CAMメーカー両社における
連携強化の意義

株式会社C&Gシステムズ代表取締役社長 塩田 聖一  様
株式会社C&Gシステムズ
代表取締役社長
塩田 聖一 様

株式会社C&Gシステムズ
【所在地】 東京都品川区東品川2-2-24
天王洲セントラルタワー19F
【設立】 2007年7月2日
【資本金】 5億円
【事業概要】 CAD/CAM システム、生産管理システム等の開発、販売、サポート
※2025年3月取材時点

 2025年冒頭にプレスリリースを実施した通り、私たちの製造ソリューション事業とクラウド事業を独立させて株式会社NDESを設立し、2025年10月にCGSグループとともに事業を開始します。これによって、NTTデータエンジニアリングシステムズとC&Gシステムズがタッグを組んで連携を強化し、製造業の将来に価値のあるご提案を目指していきたいと考えています。

塩田 同じ金型分野のCAD/CAMメーカーである両社が兄弟会社としてタッグを組むことで、お客さまに対して新たなソリューションをはじめとする幅広いご提案を行っていきます。お客さまにとっては選択肢が増えることとなり、大きなプラスだと考えています。今後は、それぞれの専門技術を伸ばすとともに、それらを融合させることで、より価値のあるご提案が行えるようになることが一番大きなメリットと考えています。

 私たちとC&Gシステムズとの連携強化は、長い期間をかけて信頼関係を築いてきたことで実現しました。数十年前は、同じ製造業のCAD/CAMメーカーとして競業関係にありましたが、2001年にスタートした経済産業省の主導によるデジタルマイスタープロジェクトへの取り組みがこの度の連携強化の始まりとなりました。

塩田 このプロジェクトは、金型分野を中心に中小企業の製造業のモノづくり力の強化と国内の3次元CAD/CAMの発展を目指したもので、日本の製造業が今後も高度技術の維持に努めていくための支援技術開発が目的でした。この中で、日本のCAD/CAMメーカーとしてグループ化の構想がありましたが、当時は、製造業の中小企業でCAD/CAMの需要が増大していた時期で、CAD/CAMメーカー各社は競業という対立する関係となっていたので、グループ化に関しては現実味がありませんでした。しかし、NTTデータエンジニアリングシステムズとは両社の交流を始めるきっかけとなり、長年にわたり信頼関係を深めていった結果、この度の連携強化につながったのです。

NTTデータエンジニアリングシステムズ 代表取締役社長 東 和久 Kazuhisa Higashi
NTTデータエンジニアリングシステムズ
代表取締役社長
東 和久
Kazuhisa Higashi

 私たちはこの度の連携に先駆けて、両社が独自に保有する技術、サービスを連携していく一環として、2022年に御社の高精度・高効率なCAMエンジンをSpace-Eに採用させていただいています。御社の優れた開発力により生み出されたCAMエンジンは、Space-Eのお客さまにもご利用いただいています。

塩田 両社の連携強化のもう一つの経緯は、日本のCAD/CAMマーケットで海外CAD/CAMメーカーへの対立軸が求められていることです。CAD/CAMのカスタマイズや他システムとの連携を海外CAD/CAMメーカーに依頼しても、どちらかというと重きを置かれていない日本の製造業の細かい要望への対応には限界があります。日本の製造業は、日本製のソフトウエアが支えていくことが一番効率的であり、事業成長の促進につながることは明確ですが、単一メーカーではなかなか難しい部分があります。そういった中で、今回の両社の連携強化は非常に大きな意味を持つことになります。日本の製造業の要望にいち早く対応できるご提案、サポートができるような環境を構築することが両社の使命だと捉えています。

 そうですね。両社の連携は、日本の製造業の課題を日本のソフトウエアメーカーが団結して解決していこうという布石になったと思います。

塩田 本当に両社はモノづくりが好きな企業で、モノづくりのIT集団だと思います。特に技術力の高い日本の金型が大好きで東社長も同じだと思います。

 確かにそうです。その上、私たちの雰囲気や価値観といった社風が御社の社風と似ていたことも今回の連携強化につながりました。製造業に対して同じ思いを持って、両社で日本の製造業を支えるという強い決意があります。

日本の製造業の現状と
両社の連携強化による影響

 近年、製造業を取り巻く環境の変化に対応していくことが不可欠な状況になっていると言えます。日本の製造業は、かつての完成品輸出型の製造業から部材を中心とした輸出型あるいは完成品の適地生産型の製造業へと変化しています。製品価値の向上や事業拡大のためには、製造業向けのDXを実現することが必須だと考えます。

塩田 今の世界情勢を見ると、政治とビジネスが同期化しはじめ、日本の技術に周辺国が追いつき、追い越し、日本の円そのものも弱くなって日本と周辺国の差別化が難しくなっています。そういった厳しい環境だとしても将来を見据えて事業を続けているお客さまもたくさんいらっしゃいます。そこを下支えするために私たちがどうあるべきか、それが問われていると思っています。技術的な部分だけでなく、人材確保や技術伝承といった問題も恒久的な課題として残っています。両社の役割というのは、中小企業の製造業のお客さまの環境に応じた解決策をご提供することだと考えています。

 塩田社長がおっしゃるように、商品をお客さまにご提供するやり方を、両社が別々で行うより一体化することで、もっと価値のあるご提案ができると考えています。1+1が2ではなく、3になり4になり、いずれは10になるよう両社がスムーズに連携して取り組むことが重要です。

私たちのお客さまの中には、NDES社の分社化によってサービスやサポートが変わってしまうのではないかと、ご心配されている方もいらっしゃると思いますが、従来と変わることはありません。むしろ可能性が広がると捉えていただきたいと思います。

塩田 その通りです。NTTデータエンジニアリングシステムズのお客さまから見ると、御社を信用して導入された商品ですから、従来と変わらないことが一番重要だと考えています。私たちにも自社のCAD/CAM関連のソフトウエアがあるので、両社のソフトウエアを統合したり、なくしたりすることは今後も絶対にあり得ません。過去の両社のCAD/CAMにおける営業では、あまり競業という関係ではなかったので、現状のやり方を変える必要はありません。

今回の両社の連携強化では、これまでの企業風土や文化を含めて、社員の皆さんが変わらずに働きがいを持って仕事に取り組んでいただけるようにすることが重要です。そのために連携強化とはどうあるべきかについて、一番時間を費やしてきました。それがひいては、御社のお客さまのためにもなると考えています。

両者の連携体制

ー 両社が取り組む活動概要 ー

1.技術革新の中核となるCAD/CAM/CAEソフトウエアの自動化推進のための要素開発(AI開発を含む)に共同で取り組みます。

2.両社の技術を融合し、金型加工から金属加工への展開をコア事業として位置づけます。

3.型設計時の解析システムとの連携による試作頻度の減少、製造ノウハウのクラウド蓄積による技術の属人化解消、AI活用による型設計から製造までの工程自動化、などを実現する各機能を共同で開発します。

4.各製造設備から収集した実績データの分析結果をもとに、生産管理システムを軸にFAを総合的に支援する「クラウド型スマートファクトリーサービス」を提供し、お客様の製造設備能力を高め、生産性の向上に寄与します。

5.両社が持つ知見と先端技術を結集した次世代情報インフラ構築に取り組み、デジタルツインの適用拡大と自動化を目指します。

6.国内事業で培ったノウハウを東アジア、ASEAN地域にいち早く浸透させ、欧米市場も見据えたグローバル展開に取り組みます。

両社で目指す
日本の製造業DXインテグレーター

 今後、両社が目指すべき方向性は、日本のモノづくりを牽引する製造業DXインテグレーター企業として成長を続けることだと考えています。中小企業を中心とする製造業のお客さまが求めているのは、一緒に経営課題に取り組み、先進的なデジタル技術を用いて幅広い価値を迅速に提供できるパートナーです。今回の連携強化によって一定規模を持つ製造業DXインテグレーターが誕生したと言えるでしょう。今後は、多くの製造業のお客さまからの期待に応えていきたいと思います。

塩田 スタートはCAD/CAM事業が主体になりますが、今後は生産管理システムなどと御社が得意とするクラウドを掛け合わせることで製造業DXインテグレーターへの道はより早く近づくでしょう。それによって、工場全体の最適化システムといった統合した商品をご提供できるので、中小企業の製造業のお客さまのメリットは大きいと思います。

工場には、CAD/CAMをはじめ、解析、計測、生産管理といったいろいろなソフトウエアが入っています。それが今は単品で扱われていますが、個々のデータ活用だけでは大きな生産性の向上には限界があります。全体の最適化を図ろうとすると、それぞれの連動性を持たせながら統合管理できるようなシステムが必要です。両社が目指すのは、CAD/CAMや生産管理システム、現場の自動化支援ツールと同一のプラットフォーム内で運用し、工場全体の最適化と生産性の最大化にお客さまと一緒に取り組む製造業DXインテグレーターです。

 塩田社長からお話のあったCAD/CAMや生産管理の他にも、工程管理などを全てクラウド環境の中で可視化することが重要だと考えます。そこで得られた情報をフィードバックすることで、それまで属人的だった技術やノウハウを企業の資産に切り替えることができます。そのためのツールの提供にとどまらず、コンサルティングも含めた全面的な協力を行います。これも、製造業DXインテグレーターの大きな役割だろうと思っています。

時代の変化に対応する
日本の中小企業の製造業

塩田 日本の中小企業の製造業は、海外と比較してもまだ優位性を持っている分野があります。その中には新たな技術を開発するというよりも、今持っている技術を磨いて日本ならではの高品質、高精度を追求されています。また、本来持っている技術が、異なる分野で評価されて業績が伸びている中小企業もあります。

 中小企業の最大の強みは、早く決断することができ、時代の変化に合わせて方向転換できることです。自らが持っている技術を他のマーケットや業界で適用できないか調査したり、他の技術と組み合わせた新技術を発見したりすることで、差別化できる新事業に育っていくのではないでしょうか。自分たちの強みのプラスアルファを探すことができる中小企業は伸びていきますし、スピーディーに取り組まれることで、今後の可能性にもつながっていくと思います。

塩田 そうですね。幅広い視野でスピード感を持って取り組むことができるのは、これからの中小企業の製造業の強みと言えます。今後は、技術を持つことで選ばれる側から仕事を選ぶ側になってもらえれば、日本の製造業はまだまだ活性化していくと思います。特に金型は、高い技術力を活かした高付加価値な製品を生み出す基盤です。自動車でいうとEVや自動運転などは、軽量化や高機能が求められる部品が多く、それに対応する金型は日本の技術が欠かせません。

 中小企業の製造業のお客さまは、自社の技術にプラスアルファの部分を探す一方で、DXはどこから始めればいいのか、AIをどのように活用すればよいのか、考えることがたくさんあります。私たち両社はそういった分野のプロフェッショナルであり、製造業DXインテグレーターとしてお客さまと一緒に課題解決に取り組んでいきます。

対談

連携強化で取り組む
10年後を見据えた事業

塩田 今後は、両社による多重開発をやめて、できる限りそれぞれが持っている専門技術を伸ばしながら、それを融合させることで、お客さまに意義あるものをいち早くご提供することが可能になります。例えばAI技術など、これから両社によって新しい研究開発によるパワーアップを図ります。

また、御社が持っているクラウド技術は、お客さまの事業でどのような役割を果たすのか、例えば次世代の省力化ソリューションのようなご提案ができるのではないかと考えています。一般的にクラウドというとサブスクリプションという考えになりがちですが、決してそうではありません。クラウドを通じたライセンス提供というのは当然ありますし、クラウド自体をビジネス化していくこともあるでしょう。お客さまのニーズに応え、さらに選択肢が広がることで流通側にも利益をもたらすことができます。御社で開発しているクラウドだからこそ実現ができると期待しています。

それから、前々から東社長がおっしゃっていましたが、日本にとって、日本の製造業、日系の製造業における生産性を上げていくことが重要です。

 中小企業の製造業のお客さまの未来を作り上げるためにDXは不可欠であり、それを支えるのはNTTデータエンジニアリングシステムズとC&Gシステムズグループの強固な連携の構築です。

これから5年先、10年先の事業を見据えたとき、これまで数十年にわたり続けてきた今の事業を次の世代の人たちにどうやってつないでいくかが問われ、結果が求められています。今ある自分たちの世界の中で、さらに製造業の変化の中でどうあるべきか、真剣に取り組まなければいけない時代になっていると言えるでしょう。

塩田社長、本日の対談では忌憚のないお話をありがとうございました。両社の連携強化はスタートしたばかりです。これから両社が果たす役割をしっかり全うしていきましょう。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。