創業102年の歴史ある株式会社昭和製作所様は、熟練した職人技をバックボーンに、3軸・5軸のマシニングセンターによる機械加工や品質管理とリバースエンジニアリングのための3次元測定機、そしてCAD/CAMシステムは“Space-E”、“CATIA V5”を活用されています。本誌No.56(2010年1月1日発行)に同社の活用事例として、Space-Eの導入背景から5軸加工への展開についてご紹介しました。今回は、2010年の取材以降のビジネスの環境変化とそれに伴うSpace-EとCATIA V5の役割ついてお話をお伺いしました。
POINT |
---|
1. 事業拡大を具現化するSpace-E、CATIA V5と軟質素材加工技術 |
2. 設計に加え、現場、営業の作業の効率化とリモートワークを実現するSpace-E |
得意とする軟質素材の幅を広げ
事業拡大を狙う
本誌No.56の10年前とは、製作する製品が大きく変わったと代表取締役の奥野成雄様は話します。
「前回の取材時は、船のディーゼルエンジンやインペラ関係、原子力発電所の冷却用ポンプの鋳造用木型の製作と、現在も主力である自動車シートのマスターモデルの製作を行っていました。しかし、この10年の間に船のディーゼルエンジンや原子力発電所用のポンプなどの需要は、市場の変化や東日本大震災などの影響で大きく減少しました。そこで、新規分野を開拓しようと展示会に積極的に参加し、当社が得意とする軟質素材の加工をアピールしました。軟質素材には、木材、ケミカルウッド、硬質ウレタン、スポンジ、発泡スチロール、ベーク材などがあります。特に自動車関係では、CATIA V5のデータを受け取れることが大きなメリットになり、内装や外装の試作モデルやクレーモデルの部品など、自動車シート以外の製品の受注が増えています。さらにタイヤの試作、船舶の水流実験用の模型、航空機の検査治具や組立治具、宇宙関連の緩衝材、医療研究用など、最先端分野での試作品の受注も増えてきました。さまざまな分野へ対応するため、当社ならではの軟質素材の加工技術を磨いています」
Space-Eの3次元データで
営業、現場の作業効率を図る
導入当初、設計部門で自動車シートの製作に使っていたSpace-Eは、活用する幅が広がったと奥野様は説明します。
「この10年は、他分野の製品が増えただけでなく、主力である自動車シートの発注先も増えて依頼数も多くなりました。それに伴って必要となるSpace-Eを増設してきたので、現在では、Space-E/Modelerを8ライセンス、Space-E/CAMを6ライセンス、Space-E/Global Deformationを2ライセンス、Space-E/5Axisを1ライセンス持っています。さらに設計者5名の他に、現場、営業でもSpace-Eの3次元データを活用した作業効率を図っています。営業では多いときに数十件もある見積書の作成をSpace-Eでモデルを確認しながら行い、現場では仕上げの具合をSpace-Eで確認して手仕上げの作業を行うなど、3次元データを有効活用しています。そのため、繁忙期にはSpace-E/Modelerの8ライセンスでは足りなくなり、利用時間を調整しながら使っています」
この10年の進展
・インドネシアへ進出
2014年10月、インドネシアの工業団地に新たな製造拠点として、子会社のPT. Showa Works Indonesiaを設立しました。奥野様は「インドネシアでは、軟質素材だけでなくアルミの金型などにも対応していて、本社と同様に精度の高い機械加工ときめ細かい手作業を実現しています。もちろん、インドネシアでもSpace-Eで作成したデータをもとに製作していますので、データは日本から送って、何かあれば出張者がSpace-Eで修正しています」と日本との連携を話します。
・リモートワークでSpace-Eを利用
その他に注目したい独自の取り組みとして、リモートワークでの利用があります。社員によっては、自宅でSpace-Eによるモデルの作成や修正を行っており、クラウドライセンスの利点を生かしています。
・社員が増えスキルも向上
環境の変化に伴って、人材にも変化が出てきました。まず、20代・30代のスタッフが増えて平均年齢が下がりました。女性スタッフも頑張っていますし、中国、ベトナム、ウガンダ出身と国際色豊かな顔ぶれになっています。探究心旺盛な若者が多いことも特長で、順調にスキルが上がり続けています。社員のスキルアップについて奥野様は「私は、失敗を恐れずにどんどんやりなさい、と見守り続けてきただけです。分からないことがあれば自主的に調べて、知識を増やしています。これからも、Space-Eを活用した精密な5軸加工など、より高いステップに挑戦できるような環境づくりを続けていきたいと思います」と話します。
昭和製作所様は、デザイン性の高い製品から精度が要求される製品まで軟質素材に特化した加工技術を追求され、そのサポートは代理店であるキャムクラフト株式会社様が行われています。私たちもご協力できますよう一層努力いたします。
会社プロフィール
株式会社 昭和製作所
所在地 | 神戸市長田区菅原通6丁目3番地 |
---|---|
創立 | 1919年5月 |
資本金 | 10,000,000円 |
従業員数 | 13名 |
外拠点 | PT. Showa Works Indonesia |
事業内容 | 自動車シートモデル、軟質素材加工品、製品検査用・組立用治具、各種木型、実験用模型 加工素材:木材、硬質ウレタン、ケミカルウッド、スポンジ、発泡スチロール、ABS、FRPなどの金属以外の軟質系材料 |
関連するソリューション
関連するソリューションの記事
- 2024年04月01日
-
Space-E 新バージョン 2023 R2
リリースのお知らせ
- 2024年04月01日
-
片山工業株式会社 様
金型技術者の育成強化を図り
成長するグローバル企業
- 2023年07月01日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.4
負荷制御を活用した5軸荒取り
- 2023年07月01日
- Space-E 新バージョンCAM 2023、Version 5.11リリースのお知らせ
- 2023年01月10日
-
第31回 日本国際工作機械見本市
JIMTOF2022 出展のご報告
- 2023年01月10日
-
第25回 関西 設計・製造ソリューション展
出展のご報告
- 2023年01月10日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.3
CAMの自動中取りと3+2の有効性について
- 2023年01月10日
- 新製品「Space-E/5Axis 2022」のご紹介
- 2022年10月10日
- INTERMOLD名古屋 出展のご報告
- 2022年10月10日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.2
東台精機/HEIDENHAINの優位性
- 2022年10月10日
- 新商品「Space-E/CAM 2022」のご紹介
- 2022年07月01日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.1
異形工具の活用と効果
- 2022年06月14日
- 「IT導入補助金2022」のお知らせ
- 2022年04月01日
- Space-E Version 5.10リリースのお知らせ
- 2021年07月10日
-
金型づくりの自動化を目指した
「Mold Future Space - OKINAWA」の取り組み
- 2021年07月10日
-
4事業部のご紹介(2)
製造ソリューション事業部
- 2021年03月01日
- 補助金・助成金診断サイト開設のお知らせ
- 2021年01月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.6
新機能のご紹介
- 2020年04月01日
-
大連永華技術有限公司と中国における代理店契約締結
-日軟信息科技(上海)有限公司の閉鎖について-
- 2020年04月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.5
新機能のご紹介
- 2019年10月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.4
サービスインのお知らせ
- 2019年07月01日
-
Space-E Version 5.8リリースのお知らせ
~自動化に向けて進化する~
- 2019年04月01日
-
Space-E
マルチスレッド技術による
特殊隅取りモーフィングモードの高速化
- 2019年04月01日
- Manufacturing-Space® Version 4.3 新機能のご紹介
- 2019年01月01日
-
CAD/CAMシステムオンラインサポートサイト
e-support リニューアル公開のお知らせ
- 2018年10月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.2
サービスインのお知らせ
- 2018年07月01日
-
経済産業省のプロジェクト参加報告
「標準の利用/活用推進委員会」の活動について
- 2018年04月01日
- NTTDATA (Thailand) co., ltd. 活動報告
- 2018年04月01日
-
沖縄マニファクチャリングラボの取り組み
5軸加工機能の強化および実用化に向けて
- 2017年07月01日
-
Manufacturing-Space®が目指す
方向とロードマップ
- 2017年07月01日
-
クラウドを利用した
「ものづくり産業」の生産性向上
- 2017年04月01日
-
Space-E Ver.5.6リリースのお知らせ
~沖縄マニファクチャリングラボの研究成果を反映~
- 2017年01月01日
-
5軸加工への取り組み
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
- 2016年07月01日
-
第1回 名古屋 設計・製造ソリューション展
出展報告
- 2016年04月01日
-
Space-E Version 5.5リリースのお知らせ
~生産準備業務の効率化を目指す~
- 2016年02月22日
- ものづくり業界向け「オートサーフェス」サービスを提供開始
- 2016年01月01日
-
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
- 2015年07月01日
-
トータルソリューションのご提案(4)
PDMを活用した鍛造解析向けトータルソリューション
- 2015年07月01日
-
Space-E Version 5.4 リリースのお知らせ
~まずは削ることから刷新~
- 2015年04月01日
-
トータルソリューションのご提案(3)
NDESがご提案するトータルソリューションとは
- 2015年01月01日
- マニファクチャリングラボ(沖縄)の取り組みについて
- 2015年01月01日
-
トータルソリューションのご提案(2)
フロントローディングソリューション
- 2014年10月01日
- CAXA社との協業について
- 2014年10月01日
-
トータルソリューションのご提案(1)
STLの活用例
- 2014年07月01日
- Space-E Version 5.3 リリースのお知らせ
- 2013年09月25日
-
金型業界初のクラウドサービス「Manufacturing-Space®」
10月1日サービス開始
- 2013年07月10日
-
東南アジア地域における
Space-E販売代理店の支援強化について
- 2012年10月01日
- 雲をつかむような話し
- 2012年01月01日
-
導入支援レポート(第11回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(2)
- 2011年10月01日
- Space-E Version 5.1 新機能のご紹介
- 2011年10月01日
-
導入支援レポート(第10回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(1)
- 2011年10月01日
-
Space-Eで実現する
デジタルエンジニアリングにおける4つのCサイクル
- 2011年07月01日
-
導入支援レポート(第9回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(2)
- 2011年04月01日
- Space-E Version 5.0 新機能のご紹介
- 2011年04月01日
-
導入支援レポート(第8回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(1)
- 2011年01月01日
- 5軸加工およびSpace-E/5Axisのメリット
- 2011年01月01日
-
導入支援レポート(第7回)
Space-Eによる3次元金型設計を中心としたシステム構築
- 2010年10月01日
-
3次元CAD/CAM/CAE一体型システム
Space-E/Pressのご紹介
- 2010年10月01日
-
導入支援レポート(第6回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(3)
- 2010年07月01日
-
導入支援レポート(第5回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(2)
- 2010年04月01日
- Space-E Version 4.9 新機能のご紹介
- 2010年04月01日
-
導入支援レポート(第4回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(1)
- 2010年01月01日
- Space-Eの有効活用「電極設計の効率化」
- 2005年07月01日
- Space-E最新バージョンのご紹介
- 2005年01月01日
- Space-E Version 4.3のご紹介
- 2004年07月01日
- Space-E Version 4.2 Modeler & CAMのご紹介
- 2004年04月01日
- Space-E/Global Deformation Version 1.0のご紹介
- 2002年04月01日
- Space-E Version 3.1のご紹介
- 2002年04月01日
- Space-E/STEPのご紹介
- 2001年07月01日
- Space-E最新バージョンのご紹介
- 2001年07月01日
- Space-E/Mold Version 2.0のご紹介
- 2000年10月01日
- Space-E/SolidCAMの紹介
- 2000年07月01日
- Space-E/Moldのご紹介
- 2000年04月01日
- Space-E Version 2.1 のご紹介
- 1999年10月01日
- WindowsNT版 製図支援システム Space-E/Draw のご紹介
- 1999年07月01日
- Space-E Version 2.0 最新機能紹介と今後の展望
- 1999年01月01日
- Space-Eのご紹介